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短歌

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2019年11月の記事一覧

再現

再現

道のなかで共になりその手のような、木と対になりくだり終えれば
綻びの笑顔を差し出されたときのどちらかの腕を空の鳥から
見せられる画面の滑らかさを滑りいつか手放すことばを使う
道のあとへついて行くのが決められたからだのなかの木の実のなかの
欄干に触れるとすこしざらついてどちらかが譲る日の岸の降り
なかに住むひとの囲いの静けさが手から離した家族に置かれる
どちらかの腕なのか空にある肘からつな

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詩的実験(1)

銀貨と背高泡立草が不協和音をかなでるような昼
耳朶をもぎ取られたような睡眠が繁茂しているふるさとである
空っ風の吹く浜松のじゅうぶんな引力に付着する寒さは
静謐な脳髄のような月をかかげては鏡面にすべりおちる
鳥の意思をもって空を構築する神の眼のふたつの義眼
有機物が無機物に変わるたとえば名字のかわるようにかなしく
鳥をうちおとしてしまう日差しへと濃硫酸を流した風景
不器用な月のひかりの背部へと蒼く

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昼夜を数える

ゼブラゾーンの一度すぎたあと目力のちかいところへ空を備へる
あとになってシェイクしている氷にも耳をそば立て触れようとする
通りすぎたその前にビルを置いてみるそうすることでビルが際立つ 
上方斜めにビルを傾ける所作の合間を触れていく風
あとになってようやく見つけられるようなひとへと今日は語りたいのだ
徒歩でいく途中で肩を傾げては背高泡立草を浮かべる
かつてここにあったオフィスを語ろうと新規採用時代に

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