昼夜を数える

ゼブラゾーンの一度すぎたあと目力のちかいところへ空を備へる
あとになってシェイクしている氷にも耳をそば立て触れようとする
通りすぎたその前にビルを置いてみるそうすることでビルが際立つ 
上方斜めにビルを傾ける所作の合間を触れていく風
あとになってようやく見つけられるようなひとへと今日は語りたいのだ
徒歩でいく途中で肩を傾げては背高泡立草を浮かべる
かつてここにあったオフィスを語ろうと新規採用時代にもどる
いまとおり過ぎていったのちようやくに見受けられうる身柄を横たえ
道にただしく建てられた濃淡を眠らない夜の標と決める
前後からはじまる歩みの継続を知らせるための振り子だろうか
いつまでもここにとどまることのないよう立ちあがる桜並木を
花びらが散るとき散ってしまうものそういうときが身体に重い
皿の上へ皿を重ねて夜はあける少女の落下したビルにさえ
二列のうちのひとりとして種を撒きなじんだ畑に影を許した
数えられることを意識して許した何人かを見送る午後二時
見られないことを意識していない庭の隅には好きな花、ダリア
ここへ来る途中の女人をかぞえつつ数えわすれたころあうあなた
以前と同じ部屋から出掛けるとふたりのそれが戸口へかかる
かつて樹のうちへと耳をすませた頃の何世代めかの小鳥と我ら

#短歌

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