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白井健康
2019年12月31日 11:13
詩的実験(3)〜実験的流動説 〜くちづけをしないまま朝明けの海道にこぼれ落ちる、のだろう一文字に続けてのち、ほどく髪の「眩しいのだから安堵はうたた寝へと再読を誘うかつての魅力の失せた発芽を引きずってリサイクルされた動詞が仮面へとかわり赤紙の掲示のもと研ぎ直され運河は笑う欲望をほどき関わろうとする鳥の陰謀に騙されてはいけない一度も嵌めたことのない指輪はすでに解放区建設
2019年12月28日 10:47
外殻 耳朶にナイフを当て憧れに似た痛みを構えたことがあるしろたえの雪を汚した体液をとどめて月の内湖が弛む眉のない明るいところから落ちる開戦の日の、それとも傷の 鳥は無垢だ 謝るまえに木になる土を払い除けると手間だけど、いい匂いがする条理など何ほどのことか左右不対称の森林帯を摩擦すると濃淡に描き分けられた辺縁の群生地から吼える 詩人であることを休止し窓枠の外側
2019年12月26日 12:36
異葉 樹海に抱かれて朽ちてゆく生まれかわる間(あわい)を添、天、と展開する 船乗りは裏皮のすわから点滴のように龍を送り込む、混む、虚無 夏葉は形代のかたち 回り続ける雑食の街なのだ 解剖図説にだって記載されないアスファルトの湿りを剥がしてみる 刻の進みが 詩が詩を培養するように雨粒を撫でながら金属臓器は感電し月のひかりは鈍く鎖骨へと忍び込む 鼠径部あたり痂皮の注意書きを開きながら夜のほどろ不可
2019年12月24日 11:07
詩的実験(2) 真空管のなかの噴水、噴水のなかの鯨が落ちてゆくのだ小石のなかの真珠に眩みかくれんぼした児が森から未だ帰らず 樹々の骨格をさかしまに救い吹き溜りの風に耳を交えてベッドは草原の昨日を追っている盛りあがった穴から妻は発狂し熟した果実はファムファタル転がる銀貨の欲望とか溶け出す氷の諦念とか鳥のさえずりに貫かれ世界の均衡が鏡の裏へずれ始めている月はゆっくり落
2019年12月23日 10:50
地籍台帳 オルドリンの歩行から、体を伝う奥の細道、満ちてくるもの、溢れて文体の逸話、忍者は枯野をかけ巡る、めぐむ、無、そう、桜咲くまで、間引かれたひとよ、ひと夜、闇から立ちかえる黄泉平坂、坂の上から傘は舞いおり、天、てん、点になる。思い込みの強さに歪曲される。そう、そうたい、的に盛って、ひかりのなかのコーヒーの湯気の共有、押しの強さに引っ込めた蕊、日差しは喪失の花弁、海岸線まであと少しのと
2019年12月22日 10:53
形式 一行が絵画(トロンプルイユ)を描きつついちまいづつを脱ぎすててゆく 強く弱く不等間隔に水仙は咲き強く結んだ紐の両腕までの距離を脱論理的に引き寄せるゾルレンすこし捻れば痛点を経過し羽音を織り成すように改行され眩暈の姿に肌がすれちがう やわらかく眠ったからだのつなぎめを超えて飛び去る鳥の点綴 #詩
2019年12月19日 10:23
鏡半身 たぶん呼気を吐き出し間引きされるひかりのようにはいかない見られることなくはじめての花を咲かせいちばん深くなったあとは堆積するしかなく水域をいっとき共有し昨日のように流される前世を立ち尽くせば借景の街に海岸線は歪んで億年の骨の白さと饒舌な啞のひかり鳥の渡りは母だったのかもしれない五指を大地に染み込ませ三半規管を少しずらせば吃音のように聴こえてくる
2019年12月17日 13:23
街のからだ 町のなかを歩いていると身のなかの廃墟の街に触れるときのふっとした嗚咽、嘔吐に夏の日の父の背中を重ねる果てなく広がりつづける身のなかを歩いていると街のなかの廃墟の身に触れるときの影のない通りに日差しが色づき子宮のなかに揺れるとき壁に突きあたる街にふれるときの崩壊を企てた指先に力が漲る そうやって夢から目覚めてここへたどり着くのだ #詩
2019年12月7日 13:18
試行テクスト 水平線の湾曲するところへ届くだろうf(x,y,z)=0を満たす軌跡が剥離を始めるそう、行動するだろう指先で水平線を絡め取り月の義眼をあばいてしまう自転車がつぎつぎ空へ落ちてゆくのを見下ろせば林檎は透ける裏面から乳房を貫く未完の矢尻が極点へと呼びかけ処方、接吻、過去、溶解、奇形から一枚を選ぶときの表情になる脱ぎ捨てた檸檬と交差点の発狂はラビリンス白磁器の罅割れの