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わたしの本棚140夜~「隣人の愛を知れ」

都会に生きる6人の女性たちの物語です。水戸家の母美智子、姉和歌、妹ひかり。立花莉里、スタイリストのヨウ、女優の青子。それぞれの恋愛や暮らし方を通して、女性の生き方を鮮やかに描いています。6人の群像劇で、一人5ページ弱の話が、冬至のあたり、クリスマスのあたり、小正月のあたり、節分のあたり、桃の節句のあたり、春分のあたり、こどもの日あたりと季節の推移とともに語られていました(ちょうど今の季節の移り変わりにもあっていました)

☆隣人の愛を知れ 尾形真理子著 幻冬舎文庫 710円+税

 作者の尾形真理子さんは、日本大学卒業し、博報堂でコピーライターとして活躍された方で、朝日広告グランプリ賞など数数の賞を受賞されています。そのせいか、映像的なエッセイ風の読みやすい文章で、すいすいページが進みました。

 後半にいくにつれ、誰かが誰かの隣人になっており、6人が繋がっていきます。「どんなときでも歌を知る人でいてほしい」「なりたいと思えたなら、あきらめるのは勿体ないじゃないですか」「思うようにはなれなかったことの方が多いですけど、本気でなりたいと生きていれば、近づいても遠ざかることはないんじゃないかしら」他にも、前向きなセリフがたくさんありました。決してハピーエンドではないのですが、すがすがしい読後感でした。各章ごとに、コピーライター尾形さんの言葉があります。最終章・こどもの日あたり、では「止まないエールを、自分にも」です。自分を愛し、隣人を愛して、新しい人生へ踏み出す6人の軌跡を描いた掌編小説集でした。

#読書感想文 #推薦図書 #尾形真理子 #幻冬舎文庫 #隣人の愛を知れ


 


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