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わたしの本棚49夜~「焼身」

 宮内勝典さんや藤原信也さんの担当がしたい、と言って、編集者になった友人がいました。出版社に入社したけれど、結局、担当できたのかな、と本を取り出し、思い出しました。2000年から2010年にかけて、インターネットが急速に発達し、世界と通じあえる世の中に激変しましたが、それまでの世間はバブル後で停滞しており、そんな中、世界を歩いて、さまざまな問題意識を宮内先生たちは発してくれました。「宮内は筋金入りの世界市民である。世界を見ること、刃の先までを自分に課し、何十年も世界を放浪してきた」帯にある沼野充義氏の言葉です。

☆「焼身」宮内勝典著 集英社 2000円+税

主人公は当時、日大芸術学部の講師だった宮内先生自身を思わせる男性で、フィクションとノンフィクションの間のような展開です。

1963年、南ベトナム政府とアメリカ軍に抗議してベトナム僧が焼身自殺しました。主人公がX師と名付けた彼をめぐる旅、彼がなぜ路上でガソリンをかぶって自殺しなればならなかったか、をベトナム、ニューヨーク、日本の街の光景をまじえながら、綴ります。第57回読売文学賞受賞、第56回芸術選奨文部科学大臣賞とW受賞した作品です。今は書籍化され閉鎖されましたが、海亀通信というblogでも宮内先生は世界を発信しておられ、当時、友人たちと読んでいました。

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