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「キネマの神様」を観てから、「菅田将暉作品を語る」

 数年前、原田マハ氏の原作を読んだので、映画の公開を楽しみにしていました。主役が志村けんさんから沢田研二さんに代わりました。全編に映画を愛する気持ちは出ており、微笑ましいシーンがたくさんありました。一方で、下町人情ものを強調しすぎた感じも否めなかったです。(自伝的要素の強かった原作とは別物になっていました)

 最初と最後を現代(2019年と2020年)に設定してあります。撮影所時代の回想シーンは映画好きには楽しく、銀幕から映画女優が出てくるファンタジーな要素もありました。若き日の内山郷直(ごう)を演じた菅田将暉さんが爽やかでかっこよくて、博打とお酒に溺れてしまう気配がなくて、年とってからの沢田さんのごうと少し違和感でしたが、観終わったあとは、ごうを囲む人々の優しさ、温かさに包まれました。

1.主な登場人物

内山郷直(ごう) 若き日→菅田将暉 現代→沢田研二

内山淑子(ごうの奥さん)若き日→永野芽郁 現代→宮本信子

寺村新太郎(ごうの親友、映画技師からテアトル映画館の館主)

         若き日→野田洋次郎 現代→小林稔侍

内山歩(ごうの娘・原作では原田マハ本人)→寺島しのぶ

内山勇太(ごうの孫)→前田旺志郎

~若き日の撮影所での人びと~

出水監督→リリー・フランキー

桂園子→北川景子

2.菅田将暉作品を語る

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「キネマの神様」公開企画で、菅田将暉作品を語るというのがありました。菅田将暉さんが出ている映画を調べてみると、わき役も含めて37本ありました。そのうち、わたしは19本観ていました。(写真はeiga.comさんから借りました)わたしが観た菅田将暉さんの出ている映画です。

2012年 麒麟の翼~劇場版・新参者~

2013年 共喰い

2014年 そこのみにて光輝く、海月姫

2016年 セトウツミ 何者 デストラクション・ベイビーズ

2017年 キセキ~あの日のソビト~ 帝一の國 ああ、荒野 火花

2018年 生きてるだけで、愛

2019年 アルキメデスの大戦 タロウのバカ

2020年 糸 浅田家!

2021年 花束みたいな恋をした キャラクター キネマの神様

このなかで、わたしが一番好きな映画は呉美保監督の「そこのみにて光輝く」です。綾野剛氏、池脇千鶴さんとともに菅田さんも熱演でした。池脇さんの弟役、狂気へとの演技は、作品の重さとともに光っていました。

3.瀬々監督×中野監督×MC・しんのすけ氏、トークイベントを聴いて

 「キネマの神様」公開記念イベント、「菅田将暉作品を語る」が8月9日に、しんのすけ氏のMCで、瀬々敬久監督と中野量太監督の公開トークイベントがあったので、聴きました。夏の一コマとして、「キネマの神様」の映画とともに貴重な話を聞くことができ、温かな時間でした。

 瀬々監督、中野監督とも「そこのみにて光輝く」「共喰い」での菅田将暉氏の演技を高く評価されていました。また、中野監督が菅田将暉氏は、「見せる」俳優ではなくて、「見える」俳優というのを指摘されました。役になりきってしまう。理解度がすごい。中野監督の「浅田家!」に小野くんという写真を掃除する脇役で出演してもらったときに、思ったそうです。

 一方、瀬々監督は、土地でいきる青年を演じるのが上手いと指摘されました。共喰い(北九州)そこのみにて光輝く(函館)デイストラクション・ベイビーズ(愛媛)セトウツミ(大阪・堺)とその土地の方言はもちろん、匂いを感じさせると。瀬々監督の「糸」の主演をされたときも、北海道生まれ、チーズ職人を好演しています。

 ふたりの監督から、孤独を感じさせる天性の役者といわれた菅田将暉氏。

「キネマの神様」では、菅田さんのどのシーンが良いかとの質問に、ふたりの監督は「よーい」とカチンコを持つ撮影シーンがいいとのことでした。わたしは、永野芽郁さんとの相合傘のシーンや野田洋次郎さんの下宿をたずね、淑子さんからの手紙を渡すシーンとかもスキでした。

4.映画を観ること

トークイベントの最後に、しんのすけ氏が、おふたりにとって「映画を観ることは」との質問をしました。瀬々監督は、「世界を発見できる」こと。人間の喜怒哀楽から世の中の仕組みまでわかるから。中野監督は、東日本大震災時の体験から「人間が生きるのを豊かにしてくれる」との話でした。貴重な話を聴けて、楽しい時間でした。

今回、「キネマの神様」を観て、回想シーンで、古き撮影所風景を知ることができ、映画を愛する人々の葛藤しり、また、現代のシーンでは、内山ごう氏に関わる人達(奥さん、親友、娘、孫)の優しさを人情を感じました。夢をおいかける難しさ、それでも映画が好きという人々の思いにあふれた作品で、観終わったあと、温かい気持ちになりました。

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