「彼」を示す(序章)
数年にわたって押し込めてきた「彼」への想い。「彼」という神秘に抱くいくつもの感情。
そこにあるのは、彼を客体化せずにいられない自分の暴力的な癖と、彼とともにありたいという主体視したいという欲望である。
このことは、慎重に慎重に言葉にしたかった。だから今まで書かなかったし、これからも極力文章にはしないことだろう。私は言語化という作業を、「彼」に対する一種の暴力であるとさえ思っているのだ。それは私が単に未熟者であるからということもあるが、哲学的見地からの意見でもある。
しかし、