【閲覧注意】もったいない病が損をするしくみ

新しく使った洗濯洗剤が臭い。やや甘い、こもった香り。むせる。同メーカーの柔軟剤の性能を気にいったので洗剤も買った。配達に日にちがかかった。その洗剤の詰め替えが安く売られていたから、つい追加購入してしまう。旧版で売り切り終了だった。わたしは焦った。初めての洗濯後、居間に干した臭いは家じゅうに広がっている。困ったことである。どうしよう。臭いに過敏なわたしは、開けたばかりの洗剤と、新品の詰め替えを捨てなければならないかもしれない。


食品の宅配でおととい届いたブラウンえのきは、最初から元気がなかった。そうは言っても2日前の話である。腐っているとは思いたくない。開封したら臭い気がした。もちろんわたしは処分できない。ごみ袋に入れかけてやめる。上部が液状化していたので、上から1/3を捨てた。無事そうな残りをみじん切りし料理に使う。休憩するため、ふんわりとラップをかぶせてその場を離れた。しばらく経つと悪臭が立ち込めたため換気扇を回しに行く。わたしはそのあと吐いた。やっぱりえのきは怪しいので捨てることにする。最初から廃棄していれば吐かずに済んだ可能性が高い。


その後嘔吐2回、下痢6回。ふらふらするので夕ごはんを作れなくなった。料理中の材料を冷蔵庫へ。消費期限が今日のひき肉を冷凍庫に移動した。がっかりである。わたしは今晩のミートボールのために何日も構想を練ってきた。


居間に鎮座する2玉の富良野メロンがプレッシャーだ。今日1玉を切って、家族と食べるつもりだった。まさに熟れ時なのだ。腐り始めているんじゃないかと怯えている。むだにした罪は重い。


嘔吐の原因を知りたい。日中に食べた物はたくさんの種類があって特定できない。けれどあしたもまた吐くのは勘弁願いたい。洗剤も捨てたくない。だから、ブラウンえのきが犯人だったと思いたい。


思い出すに、子供のときにはよく吐いた。そのたびに母親が片付けてくれた。おもらしは死ぬほど怒られるが、嘔吐したらほめられた。一方で父は、「せっかく食べた物をむだにして、もったいない」と嫌な顔をしたものだ。


母の口ぐせの1つは「もったいなくない」である。傷んでいるかもしれない物を食べたら死ぬ可能性があると。そうして食べ物をじゃんじゃん捨てて安全を保っていた。わたしはあの姿を見習うべきなんだ。


もったいない病は、実にやっかいな貧しい心。甚大な被害を出してまでも、捨てがたき怪しい野菜。

ありがたいことです。目に留めてくださった あなたの心にも喜びを。