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宅録~D.I.Y.ミュージック・ディスクガイド HOMEMADE MUSIC (P‐Vine BOOKs)、どこから読んでも楽しい。

どこから読んでも面白い。
適当にパラパラやるのが楽しい。
こういう本は手元に置いておきたい。

多重録音の発展史から、宅録という発想のハシリと言うべきアルバム選、山本晴一インタビュー、とにかく多種多様な視点からのたくさんのディスクレビュー、1984年のミュージック・マガジンから再録された中西俊夫の記事、幾つかのコラムとか、パッケージングの話、締めの曽我部恵一インタビュー。

思いついたことをキャンバスに塗り重ねるが如くコラージュ感のあるビジュアル。当然モノクロのページが多いけど、紙の地の色が何色も使い分けられてるのでカラフルで楽しい。モノクロなのにカラフル。まさに宅録、多重録音するような感覚で作ったんじゃないだろうか。

山本晴一インタビューの「宅録の良さって、時間が無尽蔵にあることだったり、好きなことを死ぬまでできることでしょ。」という発言が端的に本書の方向性の一端を表している気がする。本当に時間が無尽蔵にあるわけではないと思うけど。
今やiPhoneにはデフォルトで入っているガレージバンドのアプリを起動したら、適当にドラム叩いたり鍵盤弾いたり、そこらへんの音をサンプリングしたりも出来る。適当な音のコラージュならあっという間にできる。意味のない音を重ねただけのものも、何度も聞き返すうちに少しずつ意味が見つかるような気がするから不思議だ。

1番大事そうな言葉は編者の江森丈晃氏によるintroductionにあった。
「アートや音楽の楽しみというのは、本質的には、金銭などに換算できるものではないのだ。ということが書きたいのだ。」

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