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パセリの天ぷら

パセリは大方彩りとして添えられる、ということを知ったほうが、もしかしたら遅いのかもしれない。我が家では、物心ついた時からパセリは天麩羅にされて、さつまいもや、椎茸や、魚肉ソーセージなんかと一緒に大皿に載っているものだった。そして、その大皿の中で、わたしが1番好いていたのが、パセリ、それだった。あまいお芋でも、みんな大好き魚肉ソーセージでもなく。

それを知っていたので、祖母は春になるとバカみたいにたくさんパセリを収穫してきて(祖母の育てるパセリは、100%天麩羅になる)、せっせと揚げる。少し苦くて、少しもさもさで、油を吸ったパセリは、山菜の味に似ている。祖母以外にパセリを天麩羅にする人をあまり見た事がないので、パセリの天麩羅は祖母の味だ。ひとり暮らしを始めてから、天麩羅なんて凝った料理はしないので、もう何年もパセリの天麩羅を食べていない。実家に帰省すると、時期がずれているのか、わたしが家を出てパセリを作らなくなったのか、祖母が揚げる天麩羅にパセリはいなくなった。代わりにコンフリという、またこれもわたしの大好きな葉っぱが玉座にいる。先日テレビで、パセリをかき揚げにしていたので懐かしくなった。洋食に添えられているパセリを残すようになってごめん。美味しいんだけど、やっぱりあのサクサクがいい。

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