見出し画像

しゃばだば

先の見えないということは不安だ。あかりの消えた街、表情のないひと、職場の契約の更新、実家の家族、行き場の無い逃避願望、閉塞感、圧迫感。つい一年前に祖父の死を経験した。それでも死にたい気持ちは消えなかった。ままごとみたいなリストカット。ドライヤーのコードと、賃貸の安い物干し竿では首も吊れなかった。浪費癖。クレジットカードの金額に冷や汗をかいて、刃物を握って、倍々の量の錠剤を呷る最低な日々。あのひとの声と笑顔が生きる糧であった。嫌いな電話をするようになった。うどんが好きでよかったと心底思う。高所恐怖症に生かされている。生きている。寂しくて孤独で不安で嫌いで死にたいけれど、生きている。ラメの大きなアイシャドウと、暗いリップが好きだ。祖母の作る味噌汁が好きだ。無責任に明るい未来を希いながら、そこへ行きたいと期待しながら、早く死んでしまいたいともがきながら、うだうだと生きるのが人生か。同じだよと言われる安心を求めているけれど、自分だけが違っていて欲しいと思う。あの人に会いたい。会いたい人に片っ端から会えれば、まあ、それでお終いでもいいか。なんて。また会えたら、好きな歌を歌って、美味しいお酒を飲もうぜ。誰にも会えずに死ぬのは、すこし、嫌だなあ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?