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ブログとエッセイのような

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三題噺と小説以外はこちらです。ながさもばらばら。
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2023年6月の記事一覧

さいか

さいか

喉を、胎を焼いたのがアルコールなのか、薬なのか、はたまたもっと別の、おれにお似合いの、真っ黒に澱んだ澱のようなもの、どろどろと醜い感情や、刃のような言葉、おれを見る目、憐れむような目、憐憫や軽蔑、あるいは、あるいは酷く熱を以た――例えば、似つかわしくないとさえ思う、そうだ、慈しみや愛、なんかの類なのか、おれは未だにわからずに居る。夢うつつの隙間、酩酊と覚醒の境、おれはそこに蹲って安い煙を吐き出して

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加速

加速

齢25を越え、四半世紀を生きた、蒸し暑い曇天、サーカスの興行を噂に聞く、わたしはペダルを思い切り踏む、夜を切り裂いて駆けて、醜い心根をどうにか叩き潰し捻じ切り踏み付けてぐちゃぐちゃに殺して、声ひとつ、言葉のひとつで震える細胞、焼け付くほどに強烈に唯愛おしく、怯え、子供のように泣けば子がそうされるようにあやされ、わたしが喪いたくないと哭く程にあなたもそうであったらいい、そうであれと言葉尻ひとつ指先の

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