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うだ すいか
2021年7月31日 23:36
その日は雨が降っていた。うんざりするような、けれど束の間の梅雨の終わりだった。わたしは黒いローファーで雨を弾いて、ビニール傘で肩を濡らした。何もかもがあの日とは違っている。轟轟と泣く雨音だけが、あの日と今日とを繋いでいる。再会は決まって夏だった。決まって雨が降っていた。そのどれもを確かめながら待っていた。いっそ逃げ出してしまいたくなるような、わたしは酷く臆病で、買ったばかりの時計が進むたびに厭に早