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正論にイライラする大人達

こんにちは!



会社組織などでは特にそうですが、正論を言ってそれが必ず通るかというと、残念ながらそうは行かないのです。

というかむしろ、正論よりも大人達にとって都合の良い意見が通りやすい会社の方が世の中には多いのです。
コロナ禍におけるオリンピックの開催問題なども正論よりも損失回避に走っている気がしますし、皆さんの会社でも正論が通らないことがあると思います。

大人たちが若者にマウントを取ろうとしたり、舐められたくなかったり、部下の能力が自分の能力を越えることを恐れたりして、反射的に部下の正論を跳ね除けてしまうこともあります。
「青二歳が〜!!」というやつですね。

今回は以上の他に、反応の裏で働く心理的効果について解説していきます。

例えをふまえて見ていきましょう。



正論にイライラする大人達・グレタ・トゥーンベリの主張


2018年8月18日

当時まだ15歳だったグレタ・トゥーンベリさんは学校の授業時間にもかかわらず、スウェーデン議会の外に座って「気候のための学校のストライキ」という看板を掲げたった一人で座りました。

「あなた方大人が、私の未来を台無しにしているので、ストライキをしています。」と書かれたリーフレットを配り、「9月9日に開催される総選挙まで学校に出席しない」と宣言しました。


彼女の行動はSNSで世界に一気に広がり、話題になりました。その後、世界同時多発的にストライキが組織化され実際に学生がデモを行いました。


その後、彼女の怒りが世界中に伝播し世界中の学生を動かしたことで、2019年のノーベル平和賞にノミネートされることになります。

しかし、彼女の行動にイライラを表明した大人達は多く、オーストラリアのスコットモリソン首相は「ストライキの活動時間を減らして学校で学ぶ時間を増やすことを望む」という声明を発表しました。しかし自体を沈静化するどころか、バッシングを浴びることとなりました。

その他にもロシアのプーチン大統領やEUボレル外務安全保障上級代表は相次いで批判的な声明を発表しました。



グレタさんの主張は間違っていたのか?


まだ10代の若者にすぎないグレタさん対する「大人」たちの批判ぶりは大人気ない気もします。

ここで重要なのは、グレタさんは感情的な主張をしているのではなく、科学的な主張をしていただけで、正論を主張していただけなのです。

温暖化の問題に関しては、意見が分かれる所ではありますが、実際のところ2018年に国際連動環境計画と世界気象期間が共同で設立したICPP(気候変動に関する政府間パネル)は次のようにまとめています。


🔷世界の平均気温は産業化以前に比べて1.0度上昇している。このままのペースで気温が上昇し続けると2040年前後には1.5度に達する。

🔷温暖化を1.5度以内に抑えるには世界全体の人為的な二酸化炭素排出量を2030年までに2010年と比較して約45%現象、2050年頃までには約100%現象しなければならない。


グレタさんはICPP報告書を念頭に2030年に排出量を半分にできる可能性が50%しかないことに怒りを覚え、主張をしていたのです。


グレタさんの主張は至極まっとうなものであるにもかかわらず、「実現不可能な正論にすぎない!」という批判的な意見が続出します。

このように世の中には正論を振りかざすと怒る大人が大勢いるんです。



正論を妨げる二つの心理的効果


なぜ人は、特に大人は正論が苦手なのでしょうか?


これには二つのバイアスが関わっています。

一つ目はナイーブシニシズムと呼ばれるバイアスです。

これは自分より相手の方が自己中心的だと考えてしまう傾向のことです。

例えば、「自分は相手の意見を理解するように努力しているのに、相手は自分の意見を理解する努力を怠り、好き勝手な意見を言っている。」と思い込んでしまうことがナイーブシニシズムの影響なのです。


二つ目は心理的リアクタンスという心理効果です。

選択する自由を奪われて他人から強制されてしまうと、良い提案であっても反発してしまう傾向のことです。


例えば、「この漫画を読み終わったら勉強しよう」と思っていたところに、親から「勉強しなさい!」と言われた瞬間、勉強をやるモチベーションがなくなってしまうといった反応が心理的リアクタンスです。

みなさんもあらゆる場面で経験があるのではないでしょうか?



バイアスを知ることで物事をフラットに見ることができる


このような心理的効果が重なることによって、心理的に正しいと言われる判断を下すのではなく、間違った方向に決断してしまうことがあるのです。

これらの反応は大人になる程強くなる傾向があります。


また、偽の合意形成効果というものも正論の主張を妨げることがあります。

この効果は、自分の考えが常識だと思い込んでしまい、自分が行っている行動が正しいという思い込みを持ってしまう。自分と同じ考えを持たない人を変な奴だなと思いこむバイアスです。


このように様々なバイアスが心理的影響を与え、正論を跳ね除けて自分のわがままに固執してしまいます。
周囲からすると生産性のない迷惑な行動でしかありません。これらの心理的効果を把握しておき、このような反応をしていないか、自分自身を客観的に見るようにして、老害化を防いでいきましょう!


それでは、また!


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