読書と平凡な日常3 獏と歯間ブラシ
どうも、紅りんごです。昨日、慣れない運動をしたのが祟って全身筋肉痛。昨晩は眠れませんでした。それでは、気を取り直して。まずは読書報告です。
3冊目は芦沢央『獏の耳たぶ』です。犯した罪への罪悪感と守りたい平穏な日常に挟まれて、押しつぶされそうになる母親と、胎児の取り違えに気づかぬまま子どもを育て続ける母親。交互に語られる二人の日常は読んでいて辛い。
いつかこの平穏な日常が終わると分かっているのと、唐突に終わりを告げられるのは、どちらが幸せだろうか。血のつながりかそれとも共に過ごした時間か。幸せとは、親子とは、一体誰が何を元に決めるものなのか。マタニティブルーによって生まれた心の隙間、胎児の取り違えが引き起こすのは紛れもない悲劇。でも、後味は悪くない。そこに確かに子を想う愛はあった。それを読んでいる私は知ることができた。
何を書いているのか分からないとは思いますが、要は絶望の中に微かに灯る希望を感じさせてくれる作品が好みなのです。何事も後味が悪いと終わった時に、気持ちが良くないですよね。
共感してもらえるのは『悪夢』でしょうか。期末テスト2週間前に教師陣のフォークダンスを見せられたり、両手に丸椅子持ったままロッククライミング、挙句の果てに残酷な少数民族の成人式の儀式まで。見た悪夢は数知れず。できれば悪夢はみたくない、誰かに悪夢を消して欲しい。そんな願いを叶えてくれるのが、紹介した作品名にもある『獏』。悪夢を喰らってくれるというふわふわした生き物。こんな眠たげな奴が本当に悪夢に打ち勝てるのか、不安で不安で仕方がない。そもそもどうやって食べる気なのか。今日はその方法を吟味してみることにする。
獏は奇蹄目バク科の草食動物。鼻の下には葉を噛みちぎり、磨り潰すための歯が生えそろっています。そして、鼻と上唇が同化しているため、鼻を上げると口も開いてしまいます。(これが凄く間抜け面なんですよね。そのままなら可愛いのに。)
さて、こんな彼または彼女はどうやって悪夢を喰らうのか。何となく吸うのかな、と思っていましたがそれはなさそう。悪夢は噛み応えありそうですから。恐らく、時間をかけて悪夢を磨り潰してくれるのでしょう。それならあまり数をこなせない気がしますが、安心です。
では、私達に尽くしてくれる彼らに向けて私達ができることはないのか。もちろん、悪夢はごちそうかもしれない。でも、『お疲れ様です。』『ありがとうございます。』の気持ちは伝えたい。そこで私が提案するのは、歯間ブラシ。噛み応えのある悪夢は歯に挟まるときっと不快です。そんな時、枕元に歯間ブラシがあれば快適。獏さんも『こいつ、気が利くじゃん』と満足してリピーターになってくれること間違いなし。最高の睡眠ライフを送るためには些細な配慮が肝心、というわけです。
この記事を読まれた方はぜひ、枕元に歯間ブラシを置いてみてください。朝起きてその数が減っていたら、獏さんに感謝して1日を過ごしましょう。それでは今日はこの辺りで。おやすみなさい。
参考文献
https://www.tokyo-zoo.net/guided/m_tapir_K.pdf
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