読書と平凡な日常6 してはいけないこと
どうも、紅りんごです。初っ端、物騒なサムネイルで申し訳ない。今回のテーマがテーマなので、致し方なし、というやつです。
6冊目は、芦沢央『カインは言わなかった』です。有名な監督が携わるバレエ演目『カインとアベル』、その主演が講演当日に失踪した。彼の失踪の真実を追う恋人は、彼の家族や友人と触れ合う中で彼の本当の姿を知ることになる。
カインと言えば人類最初の殺人者であり嘘つき。どちらもしてはいけないこと、すなわち罪です。嘘に関しては、殺人者から匿って欲しいと望む友人をかばうか否か、何か哲学者が提示していた問題があった気がします。それ程に嘘は人間にとってセンシティブなものなのです。嘘は許されて殺人は何故許されないのか、答えは法律で決められているから、と言えますね。
捕まるから人を殺さない、なら捕まるなら人は嘘をつかないのでしょうか。好きなら好きといい、嫌いなら嫌いと言う世界、単純明快です。確かに誰も嘘をつかないのなら、「疑う」という感情は無くなって誤解も無くなるでしょう。人間はより善い生活を歩むことができるようになるかもしれません。ですが、つまらない。つまらないです、そんな生活。この世界に対する反論は無限に思いつきますが、何しろフィクション自体が許されるものでは無くなるであろうことが問題です。フィクションこそ人間が生み出した究極の嘘。それが無くなるなら人間は人語を解す獣に他なりません。「嘘」を言葉にしてつくこと、それが人間固有の属性ではないかと私は考えます。そして、嘘や虚構に救いを求めようとするところも。故に、これからも人間を小賢しく、愚かしめる嘘をこれからも愛していきたいと思います。それでは今日はここまで。ごきげんよう。
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