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読書と平凡な日常9 走り出したら止まらない

 どうも、紅りんごです。昨日はお休みさせていただいたので、今日が9冊目になります。

蜜柑感

 マラソン大会に参加し、走りながら回想する形式の本作。回想で浮かび上がる、新入生の入部から退部に至るまでの出来事。積み重なる些細な違和感が一気に回収される瞬間はマラソンのランナーズハイ、そしてゴールの快感によく似ている。『氷菓』シリーズの中でもかなり主人公の無力感が感じられる本作は、きっと強い印象を与えることになるでしょう。
 とある事情から、マラソン大会の合間に新入部員退部の理由を解き明かさなくてはならなくなった主人公。迫るタイムリミットにハラハラさせられるのが本作の特徴であり、マラソンらしさを感じさせてくれる点でもあります。
 マラソンは小学生の行事以降は全くやってこなかったので、とても懐かしい気持ちになりました。幼い頃の私は喘息の症状が酷く、長距離を走るたびにぜえぜえ言っていました。しかし、走ること自体は好きだったので、結構足が速いチームに入っていたのを覚えています。今と違って、この頃の私は運動ができていました。我ながら羨ましい。
 私の学校のマラソン大会は小学校にしては本格的で、競技場を借りて長距離を走るものでした。喘息を抱えながらも私が長距離を走り切ることができたのは、支えてくれるチームの人間がいたからだと思います。チームは同じ足の速さの3人で1つ。私が良く印象に残っているのは3年生の頃のチームです。クラスの人数の都合上、私のチームは二人だけでした。そして私がチームを組むことになったのはクラスのやんちゃ坊主。はっきり言って苦手なタイプでしたが、彼は意外にも私に優しく、そして真剣にマラソンに取り組んでいました。彼としては「ぜえぜえ言ってる足手まといと組まされた」という思いがあったのかもしれません。しかし、そんな不満をおくびにも出さず私を支えてくれた彼には感謝しかありません。お陰で私と彼は学年で1位を取ることができました。
 謎を解きながら走る奉太郎を支える古典部の部員、そして小学生の彼の様に、共に同じ目的を抱え、支えてくれる仲間の存在の大切さを感じたひと時でした。それでは、今日はこの辺りで。

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