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(13)日本語ミステリー劇場       ▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼     チガイがわかる・おもしろ日本語入門   ▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△▲△

第二章 日本語ミステリー劇場

          その7、日本語に未来形は有るのか無いのか?


          souy

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元NHKアナ、民放キャスター、はたまた講演講師や大学
講師などを遍歴して、その後突然スペインのバルセロナに
移住して、早や18年。
著書(最新刊)『熟年夫婦の行き当たりばったりスペイン
移住記』(地球の歩き方、ダイヤモンドビッグ社)
他に『NHKはもういらない』(三一書房)
  『勉強っていやいやするもの?』(大日本図書)
  「脳みそのほんとうの使い方」(日科技連出版)など
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勘違いしないで下さい。今回のテーマは「日本語に未来はあるか?」ではありません。「日本語の動詞に未来形はあるのか?」です。 というのも、これまで動詞の活用形をご紹介してきましたが、その中には現在形と過去形はありましたが、未来形は全く登場してきませんでした。 じつは日本語の未来形については諸説あるようなのです。


   もっとも一般的なのは、「日本語には未来形はない!」という説です。


その説によれば、英語の“I will go to Japan.”やスペイン語の“Iré a Japón.” などの未来形にはその人の意思が含まれているが、日本語にはそれに当たる時制が存在しないというのです。

たとえば私達がよく使う「私は日本に行くだろう」や「彼は日本に行くでしょう」など動詞の不定形に“だろう”“でしょう”をつけた表現は、その意味で未来形ではないということになります。確かに“だろう”“でしょう”は推測や推量であって、そこには意思は含まれていません。


  じゃあ意思の含まれた未来について話す時、日本語ではどうするのでしょう?


それには現在形を使います。「私は日本に行くだろう」のかわりに「私は日本に行く」「彼は日本に行くでしょう」のかわりに「彼は日本に行きます」。“だろう”は〈インフォーマル〉で、“でしょう”は〈フォーマル〉です。

     そう、日本語の現在形は意思を持った表現でもあるのです。

けれどもこれは日本語に限ったことではありません。英語で“I go.”、スペイン語で
“Voy.”という時も、程度の違いこそあれ、同じように意思を含んでいるようです。

その詳しい違いについてはっきりとはわかりませんが、もしかすると逆に、英語や
スペイン語の未来形についても、意思だけでなく、推測も含まれているのではないでしょうか。

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         もうすこし詳しく検証してみましょう!!

 
            “I will go to Japan.”

例えば「私は日本に行く」、英語で“I will go to Japan.”と言う時、それは確かに
その人自身の意思や決断をそなえているはずです。今まさに本人が自分の口で話しているのですから、こんな確かなことはありません。


            “You will go to Japan.”

けれども、「あなたは日本に行く」、英語で“You will go to Japan.”と言う時には
どうでしょう。“あなた”は二人称、目の前にいるか電話口にいるか、いずれにしてもその意思を聞き出すことができますから、かなり確かな情報ではあります。ただし多くのスペイン人のように(失礼!)、直後に気が変わる可能性は否定できません。


           “He(she) will go to Japan.”

さらに、「彼(彼女)は日本に行く」、英語で“He(she) will go to Japan.”と言う
場合にはかなり事情が異なります。 そう、“彼(彼女)”は三人称です。つまり目の前にも電話口にもいないのです。たとえ以前にその意思を問いただしたとしても、ある程度の時間が経過しているでしょうし、その意思の確実性は保証できかねます。


つまり主語が第一人称(私、私たち)の場合はたしかに意思を持っていると言えても、主語が第二人称(あなた、あなたたち)や第三人称(彼、彼女、彼ら、彼女たち)になると、話し手はその意思を確信できず、推測や推量にならざるを得ないわけです。

                とするなら、

日本語の“だろう”や“でしょう”も、欧米言語の未来形の一部と考えることもできる
ことになります。もし誰かが「Aさんは来年大学を卒業します」と言っても、それは決して絶対的ではありません。卒業試験で致命的なミスを犯すかもしれないし、急病になるかもしれないし、本当のところ私たちの人生に命の保証はないのですから。

つまるところ私たちが第二人称、第三人称について語る時には、“・・でしょう”や
“・・はずです”、あるいは“・・と思います”などの推量の意味合いを込めた方が
ずっと現実的なのではないでしょうか。

              というようなわけで、

「日本語に未来形はない!」とも、「日本語にも未来形はある!」とも言えるような、どっちつかずの結論にたどり着いてしまった、オソマツの一席でした!

         さてさて、あなたはどう考えるでしょうか??

これで日本語の動詞については、おおよそご説明してきたつもりです。おわかりいただけましたか? 書き残したいくつかについては、後ほど追々お話ししていきましょう。次回からは新たに、日本語の形容詞について考察していきましょう。 お楽しみに!!

          ではまた、近いうちにお会いしましょう!


                 
ーーー 次回は第14回、 第二章 日本語ミステリー劇場
  
            その8、ヘンテコリン形容詞を解明する!
 
                   
 を、お届けするつもりです。


               ▽    ▽


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