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猫のこと

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猫にまつわる写真、エッセイをまとめています。
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いつか天になる - あるいは猫との別れ

いつか天になる - あるいは猫との別れ

友人と「猫は死ぬと何になって何処へゆくのかな」という話をした。

子猫を庭に埋めた人は「子猫は風になって駆けまわり、庭の草花を揺らす」と言った。

その人はきっと庭の草が風で揺れるたびに、その子猫のことを思い出しては泣くのだろう。小さな命を失った人は長い時間、自分を責め続ける。
しかし同時にその人は、子猫は風になってそばを駆けまわっていることも知っている。風はその人を慰めるだろう。
短く終わった命

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飼い猫ときっといつかまた

飼い猫ときっといつかまた

ずっとずっと昔に飼っていた猫が夢に出てきて、「スーさんに会ったよ」と教えてくれた。スーさんもずっとずっと昔に飼っていた熱帯魚。そうか、会えたか。

生き物はいずれその命を終えて、命を構成していた原子はこの星のどこかへ散り散りになってしまうのだけど、きっといつかまた会えると知っている気がする。

夢で会いにきてくれた飼い猫は、スーさんと話した会話をそのまま繰り返してくれて、あとは空が揺れているねとか

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ブロンズの猫

ブロンズの猫

玉那覇 正吉という芸術家の作品に「目しいた野良猫」というブロンズ像がある。沖縄県立美術館の作家紹介を眺めていて、偶然見つけた。

目しいた、または盲いた野良猫。ブロンズの猫は痩せて骨ばっている。何年も生きるうちに盲いたのか、はじめから見えていないのか。

このブロンズの野良猫と出会ったとき、こんなに侘しい野良猫で力強さを表現できるものなのかと衝撃だった。作家にその意図があったかどうか知れない。まだ

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お隣のアメリカ人と「ねこ」

お隣のアメリカ人と「ねこ」

お隣さんはアメリカ人で、地域猫に「ねこ」と名付けて可愛がっているらしい。それが本当にかわいくて、いつもその人が「ねこ!」と呼ぶと、「ねこ」がどこからか現れてその人の手から渡されたごはんを食べてまた去っていく。

この一人と一匹のやりとりはいつしか私の癒しになっていて、だからここ最近そのやりとりが聞こえなかったのは寂しかった。

けさ玄関先の植物に水をあげていたとき、お隣さんの家の窓になにか動いた気

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