あっさりと現実を受け入れる。妖怪ソリャソウカイ

体力の衰えを感じる。
その原因は、加齢のせいなのか、病気のせいなのか、はたまた単なる運動不足のせいなのか・・・。

なんにせよ、とにかくこの現実が受けとめがたいのである。

まだ、いけるはず。
ただ、自分を甘やかしすぎてるだけ。
ただ、気持ちが落ち込んでいるだけ。
それだけのこと。

気力と運動と食事で取り戻せるはず。

そのはずなのに、なかなかこの現状を突破できないことが、とても悔しい。

周りの人々には、
退職したんやし、ゆっくりしたらいいやん。
好きなことして、楽しく生きたらいいやん。
とか言われる。

それが、また悔しい。

歳をとっても、キラキラしてる人はいる。
病気でも、負けずに働いてる人はいる。
体調の悪さを言い訳にせず、やりたいことをがんばってる人はいる。

なんで、それが私にはできないんやろう。


本当は、自分でも自覚している。
だんだんと散歩の足が重くなっている。
腰を支えないと、一歩がでない時もある。
なんとも言えず、体がだるくなり、崩れ落ちることもある。
確実に、体力は落ちてきている。

わかってるねん。

でも、あらがいたいねん。

ウォーキングやスクワット、タンパク質摂取。
聞きかじった知識を、とにかく実践してみる。

オートミールって電子レンジでも調理できるのか・・・。
なかやまきんにくんの動画はわかりやすいな。
ウォーキングって有酸素運動なんや・・・。

とにかく、その手の情報を集めまくる。
そして、しんどくても、歩きに行く。
食べたくなくても、朝からタンパク質を無理して食べる。

まだいける。
いけるはず。
ただ、気力が足らんすぎなだけやし。


そんな日々に、娘と孫娘がしばらく滞在し、
食事や育児のサポートをすることに。
おっぱいがたくさん出るようにと、睡眠不足の娘のために、
とにかくご飯をたくさん作る。
泣いている孫娘を、抱いてあやす。
お風呂の手伝いをする。
おむつを替える。
孫を見つめる。
孫を眺める。
また、泣いたらあやす。
夜中の授乳時につき合い、娘に水分を取らせたり、孫のおむつ替えをする。

てんこもりである。
がんばってる私。
必死である。


しかし。


できていないのだ。

夜中になんか起きれない。
孫を抱いていると、腰が痛くなる。
揺れながらあやしていると、膝がガクンガクンとなる。
食事のメニューだって、はりきる気持ちとは比例せず、しょぼいものになっている。
唯一、できていることは、孫を見つめたり、眺めたりすることだ。


そう。へろへろなのだ。

身体がついてこない。
ついでに、気力もついてこない。


睡眠不足でまぶたが半分下がり、顔のあちこちにニキビを登場させている娘の方が、よほど使いものになっている。
若いんだから当たり前っちゃ当たり前だが、
元気の度合いが全然違うのだ。
その差が、激しすぎる。
まぶしすぎる。
娘は、太陽だったのか?

まったくかなわない。


妖怪四時婆がでてくるはずの明け方に、なんとかかんとか起き出して、孫を抱いてあやしていた時。
妖怪四時婆ではなく、妖怪ソリャソウカイが出てきた。
そして、ぼそっとひとこと。
「ソリャソウカイ。」


実際、歳とったもんなあ。
副作用とつき合いながら、治療もずっと継続してるもんなあ。
あちこちガタが来て、運動といっても、ちょろちょろ動く程度のことしかできてへんもんなあ。

しょうがない。

できなくて当たり前。

ソリャソウカイ。

四時婆は恐いけど、妖怪ソリャソウカイの言葉は、すんなりと受け入れられた。

なかなか現実を受け入れられない私に、娘と孫娘が妖怪ソリャソウカイを呼んできてくれたのか。
孫娘の邪気のない寝顔を見ていると、力が抜ける。
すんなりと、衰え往くこの身体を認めることができる。
次につながっていくことを、孫娘の体温が実感させてくれたのかもしれない。
私よりも、やや高いめの体温が。
安心しきって眠っている姿が。


ふと、孫娘の眉間にしわが寄る。


ブリブリブリブリブ~。

あ~。急いでおむつを替えなあかん。




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