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好きなんて言葉はまやかしだろ

ぼくのことなど大して好きでもないくせにな

ぼくもそう

君のことほんとに好きとも言えなくて

でも君の中には時々

ぼくの探してるきらきらした石が転がっているだろ

それをどうにか拾いたくってしかたがなくて

喉がからからになるまで手を伸ばし続けてしまう

手が届かないと知っても離れないのは

ぼくのものにならないのならせめて死ぬまで

その存在を慰めに見つめようとするからだ


君もぼくもきっと

好き合ってなんかいない

ただなすすべなく落日を見送るように

しおれると知っても花を摘み取るように

近寄れもしない遠い国から

触れられない肉の壁の向こうから

手足をばたつかせて嘆くだけ


間抜けなぼくたちにとって

好きなんて言葉はまやかしだろ

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