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なぜ宇宙を目指しているのか

自分たちで作り上げたロケットを,自らの手で宇宙に届けたい。これが僕たちの活動の根源にある想いです。気がつけば,1人の夢が仲間たちの夢となり,みんなの夢へと育っていきました。しかし,夢を追いかけてそれに向かって努力を続けるのはとても大変なことです。
例えばこのプロジェクト。自分たちでロケットを開発し,作り上げ,宇宙へと飛ばす。宇宙が好きな自分たちにとっては,これだけでロマンが溢れています。宇宙に興味がない人から見れば,学生がロケットを作っているだけにしか見えないでしょう。しかし,このプロジェクトを成し遂げ宇宙を目指すことが,日本の10年後,20年後の未来を作ることにつながると信じています。

現行の第四次宇宙基本計画を見てみると,宇宙活動を支える人材基盤の強化のために,「宇宙関係者の裾野拡大も見据えて,学校教育と連動した人材育成の取組を実施する」,「大学生等を対象にした宇宙技術に係る実践的な取組を通じた次世代人材の育成等を強化する」とされています。ですが,学生が宇宙開発の一端に触れ,実践的な知見を深める機会はそれほど多くありません。ハイブリッドロケットの開発や小型人工衛星の開発に取り組むこともできますが,このようなプロジェクトを大学や国として支援する体制が整っていないのが現状だと思います。

ところで,ロケット開発に必要な学問には何があるのでしょうか。まずは四力,すなわち,機械工学の基礎と言われる流体力学,熱力学,材料力学,機械力学が挙げられます。他にも,電磁気学,制御工学,計測工学,伝熱工学,燃焼工学など多岐に渡ります。ここに挙げたのはほんの一例で,まだまだ数多くの学問が必要となってきます。つまり,ロケットを作るということは,それだけで幅広い知識を身に付けることに繋がるのです。学生ロケット開発がより盛んになれば,宇宙分野だけでなく,数多くの分野で活躍するエンジニアが育成されていくといえます。

では,学生ロケットが宇宙に到達することが当たり前になった世界を想像してみてください。今はJAXAや企業が中心となって行われている宇宙開発が,大学中心に行われるようになった場合,スーパーコンピュータと同じことができるようになる可能性があります。大規模な計算を行うスーパーコンピュータは,計算能力を向上させるために何百台ものコンピュータを繋げて計算時間を大幅に短縮しています。宇宙開発においても,これまでに1年かけて少しずつ行っていた研究があったなら,それを1ヶ月で行えるようになる可能性があるということです。

このように,学生が作ったロケットが宇宙に到達することには,研究面でも教育面でも大きな成果を上げることに繋がります。僕たちが宇宙にロケットを到達させることで,こんな未来が切り開かれる可能性がある。
僕たちは10年後の未来を想造するために宇宙を目指します。

共同代表
エンジン・インジェクター開発担当
田渕宏太朗

このプロジェクトの実施には多くの支援が必要となります。私たちの夢に、あなたの力をお貸しください。いただいたサポートは、宇宙へ飛ばすロケットの製作費に使わせていただきます。