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自分の目で見ること、俯瞰すること(2023/09/22)

 諸々あって、得意先Q社へ上の人を連れて行くことになった。
 全体、この人は営業向きでなく、何を云い出すかわからない怖さがある——そもそも社外の人に会うのを極端に避けようとする節があって、イゴールさんなどは随分その点を疑問視している——。ネルソン氏は同席商談の際に相手の前で大いに貶されて、面目丸潰れになったのをずっと根に持っている。万が一今日同じことをされたら後から殺すつもりでいたけれど、そんなことはなく存外真っ当な受け答えだったから、やっぱり上の人だと見直した。

 帰社後ネルソン氏が「どうだった?」と訊いてきた。
「いやぁ、存外真っ当な対応で、今日のところは片付けられたよ」と云ったら、何だか面白くなさそうだった。そうして、「あの人のことだから、どうせその場凌ぎのでっち上げで逃げたのだろう?」と云う。

「そんなことはなかったようだけれどね」
「わからんぜ」
「…」
「…」
「…君は、嫌いな相手の言動を全部ネガティブに解釈する癖があるね。それは悪い癖だぜ」
「え、…君に言われたくはないな。君だって鼻水翁のこととかボロッカスに云ってるじゃぁないか」
「ボロッカスに云うのと、当人が云ってることを十把一絡げで否定するのとは違うさ。全体、俺は鼻水翁の云うことでも畜山の云うことでも、理に適っていれば聞くのだからね。この前の畜山の話だってそうしたろう?」
「…」
「聞かずに全否定するのは、『何を云ってるか』じゃなくて『誰が云ってるか』で判断してるってことだ。それでは君の嫌いな上の人や畜山と一緒だと思うぜ」
「…」

 だから上の人や畜山から目の敵にされるのだろうとまでは云わずにおいた。
 恐らくネルソン氏も無考えに全否定しているわけではなくて、単に視点が低いのだろう。物事を客観視するには、ある程度の視点の高さが必要だ。
 視点の高さは、案外、直に人と接するよりも読書で得られるような気がしている。

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