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感情、移動、ピュアモルト(2023/10/12)
昨晩、ネルソン氏が「君、明日はS社へ上の人と行くのだろう? その商談は必要なのかい?」と言ってきた。
「上の人がセッティングしろというからしたけれど、あんまり必要とも思えんね」
「上の人にはS社よりもA社へ行って例の話をしてもらわなければならないんだが、彼は全体どうするつもりなのだろうね?」
「まだ行ってなかったのかい? これは驚いた」
「なにしろ上の人が自分でアポイントを取ると云ったのだからね。こっちは待つしかないさ」
そうして何だか当たり前のように呆れた顔をする。その様子が何だか癇に障る。
「待っていてどうなるんだね? ここまで待って進展がないなら、担当者の君が催促するべきだろう」
「そんなことはないさ。だって当人がアポイントを取るって言ったのだからね」
「言ってもできてないのだから、フォローがいるだろう?」
「そんなことすらできないようではおしまいだよ」
「おしまいの人に任せているのだから、担当としてフォローが必要だろう?」
「僕がかい? それは嫌だぜ」
「嫌かどうかで判断するなら、君は結局上の人と同じだよ」
「一緒にしないでくれたまえよ」
「だって一緒じゃぁないか」
どうも近頃、ネルソン氏と話しているとじりじりしてくるからいけない。
※
今朝は予定通り、上の人と早い時間に待ち合わせて遠方の得意先S社へ行った。
11時過ぎに商談が終わり、とりあえず近くの店へ案内しようかと思ったら、上の人は「いや、今日はいいだろう」と言った。じゃぁどうしますと問うと、家族への土産を買いに行くと云う。公私混同甚だしいと思いながらついて行き、昼食を御馳走になった。
食事を済ませたら、彼は「まぁ、今日は会社に戻ろうか」と云い出した。
戻るには新幹線で2時間かかる。随分無駄に思えるが、反対して機嫌を損ねられても面倒くさい。全体、無駄と云うなら今日の商談自体がそもそも必要ない。
今日はそういう日ということにしておいて、名古屋へ戻った。
名古屋で地下鉄に乗り換えたら、隣に座った知らないおじさんが手帳に何やら書き出した。手帳はノルティとか高橋書店とかの安いやつで、ペンは三菱のピュアモルトだった。ペン選びのセンスがいいと思った。
よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。