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暗闇、足音(2023/10/27)

 定時を回った後、仕事について思う所あって少々凹んでいると、トミーが「どうしたんですか」と言ってきた。
「うん、凹んでいるのだよ」と言ったら、「大丈夫ですよ」と返ってきた。凹んでいる理由も聞かずにそう云われたって説得力がない。

 ひとしきり話して意見を聞いたらいくらか気分が快復したから、帰ることにした。
 トミーは片付けたい仕事があるのでもう少し残業していくと云う。
「それじゃぁ、先に帰るよ」と事務所を出たら、誰もいない上階から足音が聞こえた。通常上階にいるのは上の人だけだが、彼はとうに帰ってしまっている。試みに階段から見上げたけれど、果たして真っ暗なだけだった。
 仕事の邪魔をしても悪いから、トミーには黙ったまま急いで退出した。
 矢っ張りこの職場には何かいるのだろう。

 帰りに車の中で、『極怪―GOKKAI・極めて怖い話』を最初から聴き出した。

よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。