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他人事・人間力(2023/04/07)

 昨日の今日で畜山生太郎(ちくやま・しょうたろう)のやつが全体どうするだろうかと思っていたが、普通に出社して普通に就業している。少なくとも表向きはそのようにやっている。

 きっと昨日は一家でどんよりしただろう。子供2人はまだ学生だし、「まぁ、つらいけど、今辞めるわけにもいかないしね」みたいなことを奥さんから言われたかもしれない。きっと言われたろう。食事も喉を通らず、遅くまで眠れなかったんじゃなかろうか——数年前に自分が社長から追い詰められた時はそうだった——。

 想像すると気の毒な気がしなくもないが、畜山家の空気の重さとかは全くの他人事であるし、そもそもの原因は畜山自身にあるのだから別段同情する義理もない。正直にいうと、普通に出社してきたことを残念に感じている方が、気の毒な感じよりも大きい。9.5:0.5ぐらい。
 それよりも頭の中をぐるぐる回っているのは「同じ境遇に落ちないためにはどうするべきか?」ということだ。カオナシが本当に復権するなら全く油断はできない。

 午後から、復帰したばかりのトミーをA社の商談に同行させた。
 A社はもともとトミーが辞める際に引き継いだ先だから、先方ではみんな彼を知っている。案の定、トミーが顔を出したら「何だ、どうした」とわらわら集まってきた。そうして何故か名刺交換を始めた。中には自分が知らない顔もある。知らない顔はトミーとひとしきり談笑して、そのまま去っていった。こちらには一瞥もない。いささか引っかかるものがあったが、「ま、引き継いだ後の方が業績伸びてるし」と思って見逃した。そのうち懲らしめてやろうとも思った。
 あるいはトミーに担当交代するものだと思われたのかもしれない。

 商談が終わるともう定時を回っていたので、近くのフードコートで小一時間喋って帰った。室温が低めで、どうも風邪を引いたような感がある。

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