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夜、庄司君、狐(2024/02/19)

 パスタ屋店員だった社会人一年目に、冬のボーナスでゲーム機を買った。
 それで格闘ゲームをやり出したら随分はまり、終わるタイミングが掴めないままとうとう徹夜をした。
 ちょっと不安だったけれど、大学時代には徹夜で遊んでいたのだから仕事だって何とかなるに違いないと思ってそのまま出勤しておいた。
 その頃のポジショニングは、自分が料理を作ってバイトの庄司君が麺と和えて盛り付けるようになっていた。
 自分としては、庄司君はバイトといってもベテランで大いに頼りになるやつだからきっと大丈夫だろうとたかを括っていたのだけれど、どうやらそれ以前の問題だったようで、「あれ? 百さん、この伝票のカルボは?」「あ、ごめん、とばしてた」というやりとりを都合3回やって、どうも無理だと諦めた。
 他のバイトに代わってもらい、それから徹夜で仕事に行くのは止すことにした。

 先日左目を患って以降、なるべく早く寝るようにしている。
 昔、定時を回ったら何かに追われるように急いで帰り、20時頃には布団に潜り込んで寝ていた時期がある。あの時分には色々と面白くなくて、さっさと寝てしまうことが何かに対する報復みたいな気持ちでいた。そういうのが鬱の症状だとは後から知った。
 今の早寝はそれとは違うけれど、どちらにしたってどこか具合が悪いのには違いない。
 昨夜は23時過ぎに布団に入ったが、どういうわけか目が冴えて一向に寝付けない。仕事に差し支えるから早く眠らなければと思ったら段々心が焦っていよいよ寝付けない。
 そうしている内に起床時刻になって、眠れなかったから休みますというわけにもいかないから普通に出勤した。
 きっと仕事にならないだろうと思ったけれど、通勤中も勤務中も別段眠くなったりぼぉっとすることもなく甚だ普通だった。
 何だか狐に摘まれた心持ちで帰宅した。

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