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色眼鏡、小さい人(2202.11.10の日記)
ちくしょー太郎が開発部宛に提出した書類に不備があったというので、開発部長からメールが来た。
常日頃からちくしょー太郎が揉め事を起こすものだから、言った言わんの押し問答にならないよう、開発部長はいつも関係者全員をCCに入れてメールで連絡してくる。そのCCに社長も入っていた。
これは厄介なことをしてくれたよ、あぁ、と思ったら果たして社長から「これは一体どういうことなんだ? 説明してくれ」と内線が入った。ちくしょー太郎に直接聞いた方が早いですよと言いたいところだが、その書類は自分を通して出すルールになっているから、それは言えない。
仕方なく問題の書類を持って社長室へ行ったら、開発部長も同様に呼び出されていた。
不備の内容は、エクセルで作られたフォームの既定値が書き換わっているというものだった。ここの数値がこのように変わっていると説明したところ、社長は「うぬ〜、書類改ざんじゃぁないか!許せん!」と水を得た魚のように息巻いた。深刻ぶっているが、ちょっと嬉しそうだった。寸分違わず予想通りである。
だが、改ざんするにはそれなりの知識が必要な箇所である。ちくしょー太郎がそんな高度な知識を持っているはずがない。
どうも誤って消したところへ、内容を理解しないまま隣のセルからコピペしただけのように思える、と言ってやったら、開発部長は「あぁ」と言い、社長は「う」と言って、振り上げた拳をヘナヘナヘナと下ろした。
そうして不思議そうな顔で「君はちくしょー太郎が嫌いなくせに、こういう時には守ってやるのだな」と言った。
確かに嫌いだが、「ちくしょー太郎だからダメ」がまかり通るようでは何の弾みで「百裕だからダメ」とか「男前だからダメ」となるかわかったものではない。そんな職場は剣呑でいけない。
そう言うと開発部長は隣で顔を輝かせ、社長は「うむ、そうだな」とおとなしくなった。彼の悪癖(色眼鏡をかけて判断する)に釘を刺したつもりだが、多分気付いていない。
自分は、「小っさ」と思った。
なにこれ。
よかったらコーヒーを奢ってください。ブレンドでいいです。