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百卑呂シ言行録

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日常を切り出して再構築したもの。
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#毎日note

人の縁(2024/01/16)

 学生時代の日記帳を読み返していたら、33年前の今日は木寺と友達になった日だとわかった。それで当人にLINEで教えてやった。 「日記を書いてたのか」 「書いてたさ。今ではなかなかの猛毒文書に成り果てたよ」 「まぁ、それはそういうものだろう」 「あんまり毒性が強いものだから、取捨しながらデジタルに転記して原本は神社でお焚き上げしてもらおうと思っているのさ」 「ブツとしても持っておいたらいいだろう? そのうち毒性も薄れるさ」 「俺が生きてるうちには薄れそうにないぜ?」  何だか、

ルイヴィトン、羊羹(2024/01/15)

 朝から会議で気分がどんよりして、午後からも何だかややこしい話が目白押しで随分疲れた。  あんまり疲れたから帰りに何だか甘いものでも食って行こうと思ったら、財布がないことに気が付いた。どうも家に忘れて来たらしい。  財布がないでは仕方がない。加山君に100円を借してくれないかと相談したら、加山君はお安い御用ですよとルイヴィトンの財布から100円を出してきた。自分はありがとうと受け取った。  大学時代、区役所へ歩いて行く途中で『留美豚』という中華料理店を見つけた。 「るみぶた

ガラスとはんぺん(2024/01/03)

 義父から誘われて、みんなで南知多へ行って食事をご馳走になった。  店に着くと満席で、受付で名前を書いたら、あんまり感じの良くない女将が一時間待ちですと云う。それで待っている間、店の前の海で娘が貝殻を探すのに付き合った。  あいにくフジツボとかサザエばかりで、娘が求めるきれいな貝殻はあんまり見当たらない。一方、自分は、はんぺんを焼いたような石を見つけて「どうだね、はんぺんみたいだろう」と妻に見せた。妻は「面白いから持って帰りゃぁ」と云い、それならと持って帰ることにした。

新装(2024/01/02)

 広島から名古屋へ戻った。  往路は一刻も早く到着するつもりで早い時間に出たけれど、帰りはそんなに急ぐ理由もない。夕方着けばいいだろうと午前10時に出発したら、まんまと渋滞に巻き込まれた。結局帰り着いたのは午後8時だったから、とても夕方どころではない。大いにげんなりした。  荷物を下ろした後、妻に連れられてクローゼットへ行くと新しいコートが掛けてあった。妻が娘の卒業式に着て行く服を買う代わりに買っておいてくれたのだという。 ※  社会人一年目の冬に黒いトレンチコートを買

緊急放送(2024/01/01)

 昨夜、noteの下書きがあらかたできて布団の中から公開するつもりでいたのだけれど、そのまま寝てしまったらしい。  夜中に一度目覚めたら、何だか胃が痛かった。揚物の食べ過ぎに違いない。  胃薬を飲もうにも、帰省中で親が胃薬をどこにしまっているのかわからない。それで夜中に起こすのも気の毒だし、随分心配されても面倒だ。今のところはまだ我慢できるレベルだからと、しばらく様子を見るうちにまた寝てしまった。  次に目覚めたら朝で、胃はすっかり何ともなくなっていた。  町で一番大きな

不穏な記憶(2023/12/31)

 沢田の墓へ車で行った帰り、昔釣りをしていたダムへも行ってみようと思い付いた。  途中、道ぞいの茂みの中に、知らなければきっと見落とすような小さな神社がある。周りには田んぼと川があるだけで、何かの物語に出てきそうな趣である。  お詣りしようかと思ったが、何しろ道が狭くて駐車場などもないから諦めた。  全体、ただそこにあるのを知っているというだけの者が思い付きで突然現れたって、神様にしてみれば「お前誰?」となるだろうし、却って悪い気もする。  最近ネットで、その神社辺りで道に

強行、賀状、古文書(2023/12/30)

 午前2時半に起床し、3時に広島へ向かって出発した。  休憩を少なめにしたせいかどうかは知らないが、一度も渋滞に遭わないで午前10時に実家へ到着した。いつもは昼過ぎに着くから、随分短縮できたと感心した。  実家には甥と姪が泊まりに来ていて、娘を早く従兄妹に会わせてやろうと頑張ったのだけれど、肝心の子供らは久し振りすぎるものだから恥ずかしがってあんまり話さなかった。 ※  例年帰省してから年賀状を急いで書いているが、今年は帰省する前にまとめて書いた。年々届く枚数が減ってきた

遺伝(2023/12/28)

 今日から休みなので、朝は遅めに起床した。  朝食の後、うさぎのケージを掃除するうちに、妻と娘が中学の制服の採寸に行った。もう中学生になるのだと思ったら、くだらない口答えばかりしてくるのも得心がいく。  洗濯機が止まるのを待つ間、日なたで珈琲を飲みながら、内田百閒全集の第六巻を読んだ。百閒先生──敢えて先生と呼びたい──の随筆は、当時の人々の交流がありありと浮かんでくる。こんな文章を書きたいと思う。  本を読んでいる間、うさぎはベランダで丸くなっていた。こいつは、じっとし

浄化された過去(2023/12/24)

 正午過ぎに娘の塾が終わるから、頃合いを見て車で迎えに行った。  あの塾の駐車場は面している道が狭くて、他の車が停まっていると随分入れにくい。それで少し早めに行った。  幸いまだ誰もいなかったから、一番停めやすい場所に入って待機していると、じきに右隣へ一台入った。大きな車だったけれど、難なく入ってやっぱり待機している。  続いてもう一台、輸入車の大きいのがやって来て左隣へ入ろうとし始めた。  左隣は駐車場の端で、ガードレールがあるから停めにくい。こんな大きな車では尚更難しいに

失望と驚愕(2023/12/21)

 先日、総務のフグ田さんがメールで、嫌いな食べ物を問い合わせてきた。  こちらは妻子のある身だし、弁当などを作ってこられても困るなぁと思ったら、某日に会社が弁当を出すからみんなに訊いているのだと云う。それでひとまず安心した。  ゲテモノ以外は大概食えるけれど、納豆はできるだけ食いたくないと答えておいたら、「それなら大丈夫です」と返ってきた。  それにしても会社が弁当をくれるとは突然だ。日頃のコミュニケーション不足を改善するために昼食会でもやるのかと訊いたら、違う、ただ弁当を

図書館、音(2023/12/16)

 休みの日に会社の仕事をやるのも大概にしておこうと思って、今日は一月ぶりに娘と図書館へ行った。  前回、内田百閒全集の六巻を借りて半分までしか読めずに返してしまったのを、もう一度借りるつもりで持って行くと、あいにくカウンターが全部塞がっていた。  自分が並んだすぐ前には品のある感じのお婆さんがいて、「これと、これと、ちょっと待ってね」と言いながら、返す本を鞄から次々出して重ねている。  全体何冊持って来たか知らないが、あれでは随分重かったろうと思っていると、お婆さんは本を出

モクモクファームは有名(2023/12/08)

 仕事の都合で遠方へ直行した。  近頃は社内にいるのが気詰まりでいけないから、何だかんだと理由をつけて外出することが多い。  今日のも半分遊びみたいな用件だったから随分気楽に構えていたら、高速道路の渋滞に巻き込まれ、遅れやしないかと少しひやひやした。  結局、ある程度の余裕を持って出発したこともあって、ちょうどいい時間に到着はできたけれど、残念ながら昼飯を食いそびれた。  現地駐在のネルソン氏と落ち合ってから「昼を食いそびれたのだよ」と言ったら、「まだ時間は少しあるのだから

椅子と歴史(2023/12/02)

 朝食後に妻子が出かけたから、洗濯物を干して、うさぎが足元に寄ってくるのを撫でていたら11時になった。今日も持ち帰った仕事をやるつもりでいたけれど、何だかやる気が薄れてしまった。  全体、副業はともかく、本業を持ち帰ってやったって何の手当もつかないのだから、いかにもバカバカしい。会社でやり切れないほどの仕事はそもそもできないのである。  と云ってやらないわけにいかないから、最低限のことだけやって終わりにした。 ※  先日イゴールさんが退職した。  地元へ帰るところを見送っ

箸と嫌がらせ(2023/11/26)

 義父にショッピングセンターのフードコートで昼ごはんをご馳走になった。  ラーメンをそう云って待っていると、ベビーカーを押す夫婦が隣に座り、奥さんがビビンパを食べ始めた。箸の持ち方が少しおかしかった。旦那は何も食べずにベビーカーをゆっくり揺すっている。 ※  昔、職場のメンバーで食事をした際、加澤が上司から「箸の持ち方がおかしい。全体、どういう教育を受けてきたんだ? 正しい持ち方は薬指と(以下略)」と随分ネチネチやられていた。あれでは何を食っても一向に美味くなかったろう。