若さを決めるもの

電車でハッとする高齢の女性を見かけました。

それは、若い！と感じたからです。

年齢は70〜80歳のあいだくらいで、細身です。

白髪で、さほどボリュームはありません。

パーツだけを見れば、間違えなく老人です。

彼女のなにが、若さを感じさせるのだろうか？

僕はじっと観察してしまいました。


まず、最初に気づいたのは、その姿勢です。

まるで女子中学生みたいに、軽やかにまっすぐに背筋がピーンと伸びています。

頭のてっぺんから爪先まで、まっすぐなのです。本当に惚れ惚れするくらい。

アンチエイジングというと、肌や頭髪など細部の見た目に行きがちですが、じつは立ち姿という大きなシルエットこそ、見た目の若さを決めるのかもしれません。

年齢に関係なく、ありのままの自分で、力むでもなく、こびるでもなく、まっすぐにすくっと立つこと。

ここに若さは宿るのかもしれません。


次に気づいた点は、着こなしです。

オフホワイトのカーディガンに、ベージュのチノパンツ、紫色のスカーフ、生成りのコットントートバッグ。

すべて無地で、色に統一感がある。

柄に逃げず、さりげないオシャレさを感じました。

そして、最後に気づいたこと。

それは、空席がそこそこあるのに、下車するまで立っていたことです。

たまたまなのか、ごたわりなのかはわかりません。

下車して、歩く姿もじつに軽やかでした。


そのあと、大先輩のうつくしい立ち姿に啓発され
た僕の背筋が伸びたのは言うまでもありません。


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