父島とボニンコーヒー
父島ではコーヒーを栽培している。ここで獲れたコーヒーは「ボニンコーヒー」と言われるけど、希少価値が高くてなかなかお目にかかれない。
父島で泊まった宿では、宿のお父さんが焼いたコーヒーを朝夕出してもらえた。風呂トイレ共同だしすっごくアンティークだけど、コーヒーには代えられない。だからこの宿にした。
しかもほぼ毎晩、宿泊客の釣り師が釣ってきた魚が食卓に並ぶ。5人の宿泊客のうち、2人が釣り師だった。
宿のお父さんにコーヒー好きだと言ったら「ウチの農園見てく?」と連れていってくれた。
朝5時半に起きて、3つある農園のうち2つの農園を見学させてもらう。1つは普通に農園。もうひとつは完全にジャングルだった。
コーヒーの花が咲いていた。お父さんによると一年に2日くらいしか咲かないらしい
コーヒーチェリーもいただいた。甘酸っぱい。
この甘酸っぱい実のなかから、あのコーヒービーンが出てくるなんて信じられない。「実はジャムにしたら美味いんだよぉ〜」って言うお父さんの笑顔が眩しかった。
海外のコーヒー農園は行ったことあるけど、日本の農園ははじめてだ。
うわぁー!って興奮してたら、「そんなに好きなら育てなよ〜」ってそこらからひゅいっと抜いて、苗をくれた。
コーヒーは9月下旬に収穫らしい。「一人じゃ収穫大変なのよ〜、バイト代はコーヒーね!」って言ってくれたので、次回は9月か10月に行くつもりでいる。アネロンと長靴持っていくんだ。お父さん、覚えておいてよ〜
農園の帰り道、「せっかく父島に来たんだから、海でも見ていきな」って浜に連れて行ってもらう。
「これ、ボニンブルー?」って聞いたら「ぜんぜん違う、こんなんじゃない」って即答された。まじか。
しかもこの浜で唯一泳いでた人、同じ宿の宿泊客だった。なにこのご近所感。
夕飯のときに「写真撮っちゃったよ〜」ってゲラゲラ笑いながら食べるごはんは最高に美味しかった。その日の夕食は、隣の席の釣り師が釣ってきた高級魚「アカハタ」の煮付けだった。
宿の食堂に行くと「おかえり〜」って迎えてくれる。席につくと運ばれてくる味噌汁が、じんわりと身体に染み込んでいく。芯から温まっていく感じ。心地いいってたぶんこのことだ。
お父さんがモサモサしたジャングルから、お花をとってきてくれた。この花、なんて言うんだろう。きっと忘れない。
一昨年の台風でコーヒーの取れ高が悪かったらしく、ボニンコーヒーは手に入らなかった。
天気もよくなくて、期待してたボニンブルーも満点の星空も見つけられなかった。
でも
コーヒーの苗と、リクエストして焼いてもらったお土産のコーヒー(ラオス)と、また父島に行く理由ができた。甘酸っぱい思い出たちとともに。
ちゃっかりほかの苗までいただいてきたので、帰りの船で検疫通すときに「コーヒー以外の苗の名前がわかんない…」って言ってたら
検疫のお兄さんが苗を見るなり「それ、ピタンガです」って瞬時に当ててくれた。さすが検疫。プロの仕事。
行きの船でむちゃくちゃに酔いながら撮ったこの景色、エンジェルラダー(天使のはしご)って言うらしい。
見た人は幸せになれるんだって。
次にいくときは、マスクはずして歩けるといいな
minami.n
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