見出し画像

入院患者さんの「生活をみる」って実際何をしたらいいのだろうか

患者さんの生活をみれている?

多くの療法士が実習生や新人の時に質問された内容だと思います。

療法士は、患者さんが日常生活へ戻っていくのを支援する一職種です。そのため「生活をみる」ということは、療法士にとって大切なことであると思います。

しかしながら、「生活をみる」という言葉は抽象的です。実際どのように行動したら生活をみれるようになるのか、新人や後輩から相談されることも多いです。

私自身は実習や臨床で学んできて、3つの視点から検討できたら「生活をみれている」と判断していいのではないかと考えています。

「病前はどのように生活していたのか」「病棟ではどのように生活しているのか」「退院後はどのように生活していくのか」


当たり前のことですが、ここを十分に理解することは結構難しいです。


病前はどのように生活していたのか

「朝起きて、洗面台まで行き顔を洗い、線香に火をつけ仏壇に手を合わせ、料理をするために台所へ行き、片方の手で冷蔵庫を開けたままもう一方の手で食材を出す...」

患者さんが入院前に朝起きてから、夜寝るまでどのように生活していたのか、可能であれば患者さんご本人に、あるいはご家族から聞き取りを行う。

理学療法士と患者さんの年代が違う場合には、生活様式が異なることが多いです。退院と同様の生活を目標としても、療法士と患者さんの間でイメージがずれてしまっていると、理学療法を進める上で練習不足になってしまう項目が生じる可能性があります。

病棟ではどのように生活しているのか

「朝5時に起きて歩行器でトイレに行って、7時30分からご飯をスプーンで食べて、9時の理学療法まで自主トレをおこなって...」

リハビリテーションのゴールと現状とのギャップを把握するうえで大事な項目となります。理学療法士が直接、食事場面や入浴場面を見に行ったり、看護師や他の療法士から生活状況を教えて貰って患者さんの病棟生活を理解する。

「療法士が関われる時間は、1日の内最大でも3時間。関わっていない時間にどのように生活してもらうのか、それをデザインすることが我々の仕事でもある。」実習の時担当の先生が教えてくれました。

どうやって病棟で生活してもらうのか、それをデザインするためにも患者さんの病棟生活を理解することが重要だと思います。

退院後はどのように生活していくのか

「患者さんの食形態はどうするか、夜間はポータブルトイレを使うのか、それは介護保険のサービスで賄えるのか、それともご家族に行っていただくのか...職場や食事の買い物、近所の友人宅へはどのように向かうのか...」

退院後にどのような生活をする予定なのかを、患者さんから教えて頂く。また必要な介助や使えるサービスを看護師、医療ソーシャルワーカー、ケアマネージャーと確認する。

身体機能が良好でも、自転車や自動車に乗車する希望があったり、復職するために長時間座っている必要があったりと、病院で一般的に評価している日常生活評価表からもれている項目もあるため注意が必要になります。

「病前の生活」「病棟での生活」「退院後の生活」これら3つの生活を知ることは、患者さんのリハビリテーションを円滑に進める一助になると思います。

しかし、いきなりすべてを知るのは難しいです。リハビリテーションを進めながら患者さんやご家族の信頼を得て、できるだけ早めに患者さんの生活像を捉えていくことが、重要なのかもしれませんね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?