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初めて長下肢装具をつかった歩行練習をするときの注意点

脳卒中の患者さんに対する理学療法では、長下肢装具という治療用の長靴を使用することが多いです。

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実際に長下肢装具を使うためには練習が必要で、私も同期や後輩とたくさん練習してきました。理学療法士間での練習や、新人セラピストと一緒に患者さんを診療する際に、上手くいかないポイントは、共通していることが多いです。そのポイントを数回に分けて説明していきます。

長下肢装具をつかった歩行練習では、まず長下肢装具を装着した麻痺側の股関節が伸展可能かが重要なポイントになります。

長下肢装具を用いた歩行練習で麻痺側股関節を伸展することにより、麻痺が重度な患者さんでも、Central pattern generatorという歩行に必要な機構を駆動するなど、いくつかの有用性が検討されています。


長下肢装具での歩行練習中には、股関節は伸展せず、股関節の外旋と骨盤同側回旋の代償により、股関節が伸展しているように見えることが多いです。

代償が生じる原因として①装具自体の足関節背屈制限により構造的な問題として股関節が伸展できない、②介助ループを引っ張って股関節を振り出しているため股関節外旋位での接地となっている、加えて実際の患者さんでは③機能障害として股関節伸展・足関節背屈制限が生じていることが考えられます。

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①に関しては、角度計を用いて足継ぎ手を背屈遊動(足関節背屈が制限されない)に調整をする。②に関しては、介助ループの本来の使い方である股関節外旋の抑制のために使う(介助ループで外旋を抑制したまま、前足部へ荷重すると振出がしやすいです)。③に関しては、関節可動域練習と歩行練習の併用が必要です。

患者さんによって調整は必要ですが、まずは①から③をチェックして股関節伸展を意識しながら長下肢装具の練習してみて下さい。

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