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くるくるパーマの男の子⑥

続き

「美味しかったね」とお腹がぱんぱんになった私達はレジに向かった


「俺が出す」と隣のパーマくんは自分のお財布に手を伸ばし、私は「ありがとうご馳走様」と出したお財布を静かにしまってお店から出た後
一服しながら問いかけた


「このあとどうしようか…まだ9時だし…」


吐く煙を目で追いかけながらふと私に視線を向けた彼はまだ帰りたくないと呟く


(好きな人いるのになんでそんなこと言うかな…笑)とそう心の中で少し思いながら笑って誤魔化した


「あ、じゃあ浅草近いから、行く?笑スカイツリーまだやってるんじゃないかな〜」

お互い好きな人がいるのにスカイツリーを提案した私も私だった。


行きたいとなんか少し嬉しそうな彼が無邪気な子供みたいだった


お互い好きな人がいようと今を楽しめばいいかと思い始め夜の街を歩きだす


行きと変わらず彼は私に上着を貸してくれて私のリュックを背負ってくれた


電車では会話もあまり交わすことなく
気づいたら浅草に着き
雷門の前は観光客で溢れてそのまま仲見世に向かおうとした先に彼がこう言う


「閏ちゃんと写真撮りたいな」


「いいよ。」


今思うとその写真はとても貴重なのかもしれない

ぎこちない距離感のまま彼はシャッターを押した


私はなぜか、半目。笑

せっかくだからもう一枚撮ろうと私が彼のスマホを持ってシャッターを押す


「うん、とてもいい写真!」


写真を撮った後は賑わう昼間の仲見世とは全く違う雰囲気で静かな夜に彼と肩を並べて散歩をした


なんだかさっきより距離が近くてお互いの肩同士がとんっ。と触れた


「ご、ごめんっ。。!好きな人いるのに私、さっきから色々と距離近いよね笑 少し離れる!!笑」


そう言って少し彼から離れた

ふざけ半分で言ったそのセリフに対し
私は彼から思いもしなかったことを言われる









「閏ちゃんが好きなんだよね。」

「…へ…?」

私の心臓がつんっ。と一突きする


こういう時、なんて返してあげる言葉が見つからなくて私は驚きのあまりに「取り敢えず、奥のベンチに座ろう」とヒールの音を早く鳴らしながら歩いた


キラキラ光るスカイツリーが横に大きく立っていて綺麗だったけれど、

それどころじゃなかった。


ベンチまで向かうまでの時間
彼は私に気持ちを伝えようがさっきと同じ表情と声で五重塔を目の前に私を被写体にして
写真を撮ってくれた

私もなんだか彼と一緒にいるこの空間に落ち着きと安心があったのか、さっきと変わらずポーズを決めて笑い合っていた


少し歩いて、ベンチに隣同士で座り、話を戻す


「ごめん、正直びっくりした。まさかそう思ってくれてたなんて…」


「そうだよね…ごめん」


申し訳なさそうにどこか視線を下に向ける彼を隣で眺めていた


「バーの時、一目惚れした」

パーマくんは異性と話すのが苦手なのと、自分自身話すこともあまり得意じゃない中、あの時、私がズカズカとパーマくんの話を聞いたり自分の話したりした発端で嬉しかったその気持ちが恋に変わったと教えてくれた


追記:付き合って初めての旅行の夜の晩酌時間に
その時のことを詳しく聞いてみたら「顔も勿論、いいと思ってたけれど私の性格に惚れた」と言われてほろ酔い状態だったがますます酔を彼に回された



「もんじゃの時、好きな人いるの?って聞かれた時はちょっとびっくりしちゃったけど、悪知恵が働いちゃったのかもしれない。閏ちゃんが好きな人と上手く行ってないこのタイミングで言えば俺自身スッキリすると思って、、」

彼は自分の気持ちを私に伝えるだけで精一杯だったと言う


それだけで良かったって…


つぶらな瞳が私を見つめられる

私はそれに吸い込まれそう


でもやっぱりカフェで働く彼が忘れられなくて
ずっと好きでその時の私は返事など返せなかった


ただその時素直に言えた言葉は


「本当に嬉しいよ。ありがとう」と彼にとって心が締め付けられるような都合のいい言葉だったのかもしれない


でもそれは嘘偽りなく嬉しかったから


気づいたら雑談に変わっていて時間もあっという間に過ぎていく。
終電が近くなり帰る前に「殆ど凶しかでない」って噂のおみくじを引いた


私は噂通り凶。
恋愛…【上手く行かないでしょう。】


(何を根拠に……)


そんな彼はというと


凶しかでないおみくじで有名なのに

彼のおみくじは吉だった

恋愛…【願えば叶うでしょう。】


私はふっと笑った


「今にぴったりすぎでしょ笑!」


「あーあ頑張らなくちゃな…笑」


「何を…?」







「閏ちゃんの手を繋げられるようにしたいな」


「……え…」


今日二度目のドキッ。



私はその一言で



今想う好きな人よりも隣にいるパーマくんに意識が傾くか傾かないかの狭間でぐらぐらと揺らぎはじめた

「今ははっきり何も言えないけど、
いい方向に答えを出せるように…出来たらな。」


なんて


言ってしまった


「そう行くといいな…笑」



結局スカイツリーは登れなかったけど
向こうから「今度はスカイツリーと水族館行こうね」と言われた後、彼と分かれ一人になった私は今日一日起きた事を整理したく心の中で自分と会話をしていた


(私はまだ〇〇くんのことが好き。)

(でも、〇〇くんとはもう連絡取れないし、会えないんだよ。)


(も、もしかしたら待ってたら来るかもしれないじゃん…?)


(絶対、来ない。そんな来る来ない考えてる暇があるんだったら、今現在自分のことを好きでいてくれるあのパーマくんと真剣に向き合うべきだよ)

(じゃあ、視点を変えよう。
私はどっちと話してる時が素の自分でいられる、?)


カフェの〇〇くんは毎回ドキドキばっかりで恋心はあるけど安心感は感じられない
今も不安や心配ばかりで前向きになれない恋をしている

パーマくんとは会って
まだ二回目なのにドキドキよりも安心感があってふわっと温かく私を包み込んでくれる優しい声と匂い。

私が私でいられるのはパーマくんなのかもしれない



それから時間が立つにつれて気づいた時にはパーマくんのことばかり考える日々に変わっていった。


それから私はパーマくんとのメッセージを止めてしまった


無責任&自己中な私。


その間彼に不安を抱かせてしまっていた



ただ、整理をしたかった。


カフェのあの人とパーマくんの二人ならどっちといたいか。


どっちといる時の私自身の自己肯定感が上がるか
つまり、自分が明るくいられるか。


相変わらず自分中心的な考えではあるけれど恋愛において自分を一番に考えることはとても
大切なことだと思う。


もっと話したいしもっとパーマくんのこと知りたい、



1週間ほど連絡を放置し


私はその間、友達や先輩に相談を沢山した。


ある人は

「仕事や辛いときに話を聞いてくれたり想いを寄せて支えてくれる人ほどいい人はいないよ」と


または
「あーーー!もう何回も言うけどそのカフェの人は終わってる!!辞めたほうがいい、今の閏の立場になったら私は絶対パーマくんを選ぶけど!!!!!」

と強く言ってくれる人もいた。

会ってから1週間後ぐらいに
彼のインスタのストーリーが上がっていて覗いてみた。それは私と一緒に行ったであろう浅草の雷門の写真を添えて
「GWはこの日が一番楽しかった!」って載せられていた



やっと
ケジメや、自分の思いに素直になった私は


そのストーリーに反応しようとしたけれど
なんて送ったらいいのかわからなかった

浅草の時、私はご飯の魚も水族館も好きだと話をした。


水族館行こうよって話をしたのも覚えてて
送るのにはこれしかないと思った






「〇〇〇くん水族館いつ行ってくれるの!?」


て。






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