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コロナ・シフトへ、今コミュニケーション・プランニングについて、基礎から考えてみる。

こんにちは、“映画おばけ” です。

先日、ハーバード大学が、ワクチン開発など抜本的な解決ない限りしばらくは、ソーシャル・ディスタンスを気にしたり、不要不急の接触を回避するような、セーフティに配慮した「withコロナ」期間が2022年までは続くと、論文を発表し話題となりました。


予想以上に「Withコロナ」期間は中長期化し、「Afterコロナ」はもう少し先の話になるのかもしれませんね。

この間、家にいる生活者にどうやってコンテンツ届けられるのか、タッチポイントを設けられるかは、まさに時勢に適応したプランナーの「企画力」が試される、腕の見せ所。

また面白いもので、すでにいくつかの先行事例が、この「Withコロナ」の世界で、マーケティング・コミュニケーションが歩ゆむべき、幾つかの道や方角を示唆してくれています。

今回は、そんなを道・方角をしっかりと捉えるべく、今一度“コミュニケーション・プランニングの基礎”に立ち戻って考え方を整理・備忘録しながら。最後に「withコロナ」期の、個別なコミュニケーションやアイデアで、どんなものが生まれつつあるのか、確認してみたいと思います。

コミュニケーション・プランニング

この言葉を使う人によって、色々と細かなニュアンスが異なると思いますが、以下は私なりの解釈です。

主にはクライアントのマーケティング領域で発生する「課題」を解決するため、ターゲットの心根(インサイト)を発見し、それを起点に消費行動やマインドシェアを変える“コミュニケーションストーリー”を企画・設計すること。

この、コミュニケーション・プランニングは、
マーケティング由来の、左脳的思考=垂直思考領域 
クリエイティブ由来の、右脳的思考=平行思考領域
2つの異なる思考を掛け合わせる作業です。

垂直思考(バーティカルシンキング)

“垂直思考”は、与えられた枠の中で問題解決を探る思考法です。

クライアントからオリエンで受ける与件や参考資料、調査データをもとに、問題解決の仮説を立て、「なぜ?」を繰り返し、左脳的な思考で深掘っていく、理詰めの型のマーケティングアプローチと言えます。

仮説と調査で掘り下げ、課題に対して「なにをすべきか」という文脈の発見や「やるべきこと」「必要なこと」を解き明かし、ターゲットが「こう言われればつい動いてしまう」というインサイト(洞察)に整理・到達していく作業が "垂直思考”です。

〜作業イメージ〜

・課題解決に必要な、定量的目標(KPI)の設定

・誰に(Who)伝えるべきか

→ターゲットの設定、インサイトの深堀り

・何を(What)伝えるべきか

→プロダクトの価値、伝えるべき本質の深堀り 等。

そして、プロダクトの価値とターゲットのインサイトがクロスするポイントを見つけ出し、コミュニケーションの方向性、コンセプトやイメージボード等を固めていく「フレーミング」「基礎設計」的な作業を行います。

この基礎設計がズレてしまうと、どんなに素敵なアイデアも、課題解決の手法としてマッチングせず、空振りに終わってしまいます。

垂直思考はデータや事実に基づいて順番に話を進めるので、説得カがあり、且つ納得度の高い答えを導くことができます。

一方で、このマーケティング由来の、左脳的アプローチから見えてくるものは重要でありながら、意外と「当たり前」だったり、「ありきたり」だったり、直感的な面白さや驚きに欠けたりと、垂直思考は、論理を深めるには有効である一方で、斬新な発想は生れにくい思考方法だったりします。

この点をブレイクスルーするのが、
右脳的発想の水平思考です。

水平思考(ラテラルシンキング)

“水平思考”は、ルールや概念にとらわれず、非連続的に、いろいろ視点を変えて、 問題解決のためのアイデアを自由に生み出す発想法です。

直感的な発想や、面白いという感覚を追求する、感覚型のクリエイティブアプローチとも言え、マルタの医師・心理学者・作家・発明家・コンサルタントのエドワード·デ·ボノ氏によって、 1967年に発案されました。

この思考領域が行き着くところは、プランナーが定めたターゲットを動かすために、これまでに蓄積してきた経験やアイデアストックといった「自身のデータベース」にアクセスし、そこから使えるネタを引っ張り出し検証するといった、属人的な“感覚”にも依存する作業です。

〜作業イメージ〜

・どのように(How)伝えるべきか

→効果の最大化を図る、キャッチーな「打ち手」「アウトプット」の模索。

コミュニケーション・プランニングでは、この“水平思考”を駆使して、さまざまな確度からアイデアの種を発出し“垂直思考”との掛け合わせにより、検証し、高め合い、削ぎ落とし、アイデアをより強力な「企画」に仕上げてゆきます。

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自分自身のデータベースとして、アイデアストック(ネタや引き出し)をどれだけ持てるかは、その企画をどれだけ豊かなものにできるか、膨らませられるか、爆発させられるかといったプランニングにおける「余地」となり、言わずもがな、重要です。

“マーケティングできちんと狙いが定まっていないと、面白いアイデアも刺さりませんし、逆にアイデアのストックが全然ないと、面白くないアイデアが出来上がってしまう。だから、両軸で考えることが重要”

PARTYのクリエイティブ・ディレクター中村洋基(@nakamurahiroki)さんも「垂直思考と水平思考」、この2つを掛け合わせることの重要性を説いています。

データベースの作り方

日常的な「データベース/アイデアストック」作りとして、(同)PARTYの中村さんは、様々な海外の広告事例・先行事例に学びながら、

どういうプロセス・手法でこうなったのか(抽象化)
自分だったらどうできるのか(転用)

「抽象化」と「転用」考えることが大切だ、と話されています。

また中村さん同様、広告業界で活躍する電通の広告プランナー花田礼さん(@0hana613)も、優れた広告事例を「抽象化」しながらアーカイブされています。

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素晴らしすぎるまとめはこちらから↑↑

この他にも、博報堂のコミュニケーションプランナー小島翔太さんも自身の「アイデア」の源泉について、

いま、なにがどれぐらいウケてるのかを知る
なぜウケて、なにが面白いのか自分なりに考え調べる
自分の企画のどこが面白いのかを言語化する

といったことを日常的に心がけていると話しています。いずれも先行事例の「抽象化」と「転用」で、自前のアイデアデータベースを作られているということですね。

試しに「With コロナ(初期)」のアイデアを抽象化してみる

冒頭で触れたとおり、「Withコロナ」は中長期化する可能性が高いと考えられます。(少なくともそのつもりで備えていた方が良いのかな…というのが私の個人的見解です)

「Withコロナ」の間、プランナーは企画を通じて、家にいる生活者に「どのように」コンテンツ届けられるのか、「どんな風に」タッチポイントを生み出すことができるのか。いくつか事例を検証してみます。

大塚製薬「ポカリスウェット、ガチダンスシリーズの最新作。家の中でも、周りと繋がって作れるコンテンツは、集まれない今だからこそ、刺さるものがありますね。

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またコカ・コーラ・ジャパンでは「♯おうちでリフレッシュ」と題したTwitterキャンペーンで、体操・ストレッチのショート動画コンテンツで心と体のリフレッシュを訴求。

「よなよなエール」のヤッホーブルーイングは、以前より推奨してきた"オンライン飲み会”のカルチャー発信に、一層注力をしていくとのこと。

この他、コロナ禍にどのようなコミュニケーションが生まれつつあるのか。これまたいち早く、電通の花田さんが大変素敵なまとめを作って下さってます。(花田さん、有難うございます)

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素敵すぎる発信に、感謝感激です。↑↑

3つの啓蒙意識と、デジタルプラットフォーム

これら「Withコロナ」期のアイデア・コミュニケーションを色々と並べて抽象化してみると、

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「ステイホーム啓蒙系」
「ソーシャルディスタンス啓蒙系」
「ウィルスケア啓蒙系」

概ね3つのコミュニケーションやアイデアに分類することができ、さらにそれらが「デジタルプラットフォームが多く活用されてること」が伺えます。

色々な「転用」の参考となる、「withコロナ(初期)」のコミュニケーションやアイデアの特徴と言えるかもしれませんね。

高まる健康・運動ニーズ

さらに、ここからさらにリモート・ステイホーム時間が長引く「withコロナ(中期)」以降は、消費生活者の健康面をケア・フォローアップする、コカ・コーラの「♯おうちでリフレッシュ」のような健康・運動欲求に応えるアイデアが増えてきそうな予感です。

私も現在取り掛かっている企画では、この辺りのニーズを解消しながら、少しでも世の中をエンパワーできる楽しい取り組みを作れるよう、あれこれアイデアの抽象化・転用を繰り返しつつ、頭を悩ませています。(これについては、追って良い形でご報告もできるよう、頑張ります。)

ウィルスという外圧により、私たちの日常生活は中・長期的に、これまでから形を変えざるを得ない状況です。

企画の仕事に従事する人間は、今まさに、コミュニケーション・プランニングで何ができるのか。世の中を刮目するタイミングと思い、備忘録のnoteでした。

本日はここまで。



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