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読書記録

■ランチ酒/原田ひ香

へこたれてなんていられない。食べて、飲んで、生きていく!
犬森祥子の職業は「見守り屋」だ。
営業時間は夜から朝まで。
ワケありの客から依頼が入ると、人やペットなど、とにかく頼まれたものを寝ずの番で見守る。
そんな祥子の唯一の贅沢は、仕事を終えた後の晩酌ならぬ「ランチ酒」。
孤独を抱えて生きる客に思いを馳せ、離れて暮らす幼い娘の幸せを願いながら、つかの間、最高のランチと酒に癒される。
すれ違いのステーキとサングリア、怒りのから揚げ丼とハイボール、懐かしのオムライスと日本酒、別れの予感のアジフライと生ビール……etc.
今日も昼どき、最高のランチと至福の一杯!
疲れた心にじーんと沁みる珠玉の人間ドラマ×絶品グルメ小説集。

Amazonより

お酒好きの私、このタイトルにかなり惹かれておりました。
ようやく手に取れて、ワクワクしながら読み始めました。
主人公は「見守り屋」を仕事とする女性。
仕事の依頼をするお客さんの依頼理由は実に様々ですが、それぞれに必ず依頼の理由はあって他人の生き方を知ることができます。
人は生きていかなければいけません。
そのためには食べなければいけない、どんなに悲しいことや苦しいことがあっても美味しいごはんを食べることができれば、また1歩前に進むことができる、そのことをこの小説を通じて強く感じることができた1冊でした。

■OUT(上下)/桐野夏生

深夜の弁当工場で働く主婦たちは。それぞれの胸の内に得体の知れない不安と失望を抱えていた。「こんな暮らしから抜け出したい」そう心中で叫ぶ彼女たちの生活を外へ導いたのは、思いもよらぬ事件だった。なぜ彼女たちは、パート仲間が殺した夫の死体をバラバラにして捨てたのか?犯罪小説の到達点!

Amazonより

深夜の弁当工場で働く女性4人を中心に物語は進んでいきます。
ある一人の主婦が夫を殺害し、その遺体の隠蔽を手伝ったところからどんどん4人の歯車が狂っていきます。
4人一人ひとり、何かしら生活面での困窮や、家族間の問題などを持っています。
その状況はとても生々しく、リアリティの強さがありました。
今この現代においてもないとは言えない、むしろいつか怒ってしまうのではないかという恐怖をもって読んでいました。

■消えない月/畑野智美

彼らは出会って恋人になり、やがて別れた。ありふれた恋のはずだった、彼が”ストーカー”になるまでは。――被害者の恐怖と、加害者の執着。ストーカーの闇を両側の視点から抉る畑野智美流傑作イヤミス!

Amazonより

ストーカーする側とされる側両方の視点から話は進んでいきます。
主人公(さくら)は女性で、付き合い始めた彼氏(松原)からストーカーを受けるという展開。
主人公側と彼氏側で時間軸が若干上下する部分はありますが、全体的に読みやすかったですが、正直読み心地という意味では良くはなかった印象です。
ただ、主人公は周りの人たちにすごく恵まれていたと思います。
必死に彼女のことを守ってくれる家族や同僚がいて、それが救いでした。
自分で何が正しいか理解できていながらも、それを認められず、自分に都合の良いように考えてしまうあたりがストーカー独特の思考なのかな…と個人的に考えながら読みました。
こんなに自分に都合の良いように人の言うことを脳内変換できるんだなってある意味感心してしまいました…。
物語の最後までドキドキが止まらなくてして一気読みてしまった作品です。

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