私を形作ったもの 第五弾 BLACKLAGOON
はじめに
前回までは、二回に渡って、お送りしてきた四月は君の嘘、如何でしたか?出来れば、観て欲しいです、絶対読んで欲しいです。
今回は新刊が二年ぶりに発売されたBLACKLAGOON。君嘘とは真逆のアングラな世界観が印象的な本作。これがもう、面白いのなんの。
この作品についてのネタバレありきの内容でお届け致します。
それでは、最後までご覧下さいませ。
第5回 BLACKLAGOON
第一節 きっかけ
2018年アベマで再放送されていたのが、きっかけでした。
僕の中にはきらきらした青春や冒険を楽しむ自分と陰惨でアンダーグラウンドな作品を好む自分がいます。
この作品は正に後者。泥臭く、醜く足掻く人間模様、カッコいいガンアクション、B級映画みたいな言い回しや社会風刺の効いた皮肉、運命に対するそれぞれの追求といった内容も今作の魅力。
どうしても、きらきらした物が好まれる時代に於いて、こういうどうしようもない無力感やこういう世界だからこそ、何をやってもいい暴力の世界に何処か、惹かれてしまいます。
それぞれの登場人物が、過去や苦悩を抱え、それに抗い、時には屈しながらも、成長していく所も、この作品の魅力となっています。
何より、広江先生ならではの複雑怪奇な構成により、予想を裏切る展開の連続で、多くの読者をここまでの熱狂に導き、我々を未だに熱くさせている証左というのが僕の見解です。
原作も全巻揃え、何度読んでも、期待を裏切らない最強にクールな作品となっています。
第二節 あらすじ
時は90年代の東南アジアの架空都市・ロアナプラ。犯罪の温床のような土地で、切り捨てられたエリート会社員こと、岡島緑郎は運び屋であるラグーン商会に誘拐され、人質になってしまいます。
その出会いをきっかけに、彼は自らを切った会社を見限り、ラグーン商会の社員となり、岡島禄郎という名前を捨て、ロックとして、この街で戦うことになっていきます。
陰惨な展開やクスッと笑える内容のギャップも然ることながら、一番の注目ポイントは個性豊かな登場人物でしょうか?
特にこの作品は女性キャラが強い。男性キャラよりも、とにかく、カッコいい女性キャラが豊富で、男より男らしいキャラで、他の追随を許さない程の人気を誇っています。
岡島禄郎は自らの名前を捨て、ロックと名乗り、青い正義を掲げながらも、自らの信念の為、行動していくのですが、序盤は本当に上手く行かない。
最悪が募る街の空気に飲まれ、その思惑に振り回され、傍観者でしかなかった彼が、自分の意志と勇気を以て、銃を持たず、ひたすら、頭脳と根性で乗り切る姿が見ていて、ハラハラします。
ロックの相方であり、彼をラグーン商会に誘ったレヴィこと、レベッカ・リーは、この作品の花であり、今作のもう一人の主人公となっています。
ロックとは対照的に、幼い頃より銃を持ち、信じられるのは自分と金だけと決め、変わらない世界に対し、諦めの境地で生きて来ましたが、ロックとの出会いを通して、成長し、大きく変化していくことに。
ラグーン商会には、商会のリーダーにして、大柄黒人で謎の多いダッチ、白人天才ハッカーのベニーと言った個性豊かなメンバーが揃っています。
銃を持たないロックと違い、彼女がこの作品の多くを占める戦闘シーンを担当し、二丁拳銃で多くの敵を薙ぎ払っていきます。
バトルシーンがとても痛快で、様々な敵をその銃で倒していくのが、気持ちがいいのです。独特の緊張感とスリルと少々のファンタジー。漫画という自由な空間でこそ、描かれるこの世界が大好きだ。
このアクションとサスペンスのいいとこどりの内容も、BLACKLAGOONの面白い要素なのではないでしょうか?
第三節 全員悪党
悪逆と腐敗が蔓延する街、ロアナプラ。当然、その街を仕切る人間は、皆、大悪党ばかりしかいません。それが本作の魅力であり、この作品の根幹にある物だと思っています。
この町を仕切る悪党は正に世界中の悪の見本市と言われる程の悪党揃い。
どいつもこいつも、一筋縄では行かない奴らしかいません。
因みにこれを見るとこの街に住むロックが、この街を変える為に奮闘し、巨悪をぶっ潰す話ではございません。その街であぶれた人達を救うのが、BLACKLAGOONという作品となっています。
登場人物の悪党は、それぞれが違う形の悪党ばかり。
街を牛耳るロシアン・マフィアこと、ホテル・モスクワの大幹部・バラライカは、元旧ソ連軍の遊撃部隊を率いて、ロアナプラを支配しています。
元軍人の集団なので、マフィアより質が悪い。それぞれの団結力が強く、この街の抑止力となっており、いなくなると一気に治安が悪くなってしまう程。
他にも、中国系マフィアの三合会、イタリア系マフィアのコーサ・ノストラ、コロンビア・カルテル、更には暴力教会と呼ばれる武器売買や情報屋に相当する組織がこの街の治安を維持に貢献しており、組織無くしては、街が意地出来ない程の力を有しています。
どれだけ、腐敗した街とはいえ、ちゃんとした抑止力。バランスが存在しており、微妙な緊張感がこの街を覆い、均衡がいつ崩れてもおかしくない状態が、このロアナプラの特徴そのものであり、それを支配するのが、悪党というのは、何とも皮肉。
他にも、様々な悪党も登場しますが、街の均衡を壊すだけが、目的だけではなく、様々な要因でこの街に訪れる悪党たちも、この作品の醍醐味となっております。
色んな悪がこの街を染めていくのが、このBLACKLAGOONの特徴であり、このアウトロー感が好きで好きで仕方ありません。
因みに最推しは三合会のボスにして、ロアナプラの頭脳こと、張維新。
彼無くして、この街は回りません。剛のバラライカなら、柔の張の印象です。
彼の銃捌きとか、緻密なまでの謀略策略の数々。それでいながら、飄々としており、食えない要素も多く、何を考えているかが、全然分からない恐ろしさを秘めた存在です。
このblogのトップ画面のキャラが、彼となっています。最近は全然鉄火場に出て来ることは無いのですが、バラライカが対等と認める数少ない存在というのも、ポイント高いです。
続きはPART2に続きます。また、読んで貰えると嬉しいです。
それでは、皆様、ごきげんよう。