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劇場版 PSYCHO-PASS サイコパスPROVIDENCEについて(後編)

 このblogは前編の続きです。後編を読む際は、是非とも、前編を観てからを推奨します。映画のネタバレ要素しかないので、映画未視聴の方は、お帰り下さい。
 尚、この文章全て、僕自身の個人的主観ですので、悪しからず。

第三章 今作キャラの通信簿


 ここからは、今回の映画に出て来たキャラへの僕自身の通信簿と称して、どれだけ、頑張ったかを、発表したいと思っています。
 尚、全て、僕個人の感想であって、皆さんの総意でないことだけを理解した上で、ご覧いただけると嬉しいです。
 通信簿に出てないキャラもいますが、そこはお許し下さいませ。

宜野座伸元君

体張ってたで賞

 朱ちゃんが言えなかったことを、狡噛さんにぶつけたり、戦闘時は率先して、戦ったりとこれまで以上に、変化が大きいキャラの一人であるギノさん。元々が、監視官だったこともあり、そこからの柵から、解放された彼だからこそ、言えることも多かったと思います。
 影では、常守と言いながら、表向きではあなたと言う所が、何とも、彼らしく、陰ながら支えてあげたい心意気が素晴らしい。それが、朱ちゃんを苦しめていると知らず。
 一期の頃は、他人への配慮が出来ず、自分しか、見えてなかった方が宜野座さん。朱ちゃんも、狡噛さんもそれは同じらしく、全員が歳を重ね、誰かを思いやる行動がとれるようになったとパンフレットに記載されていたので、是非とも、映画を通して、感じ取って欲しい場面です。
 ラファエルをぶち壊せばいいとか、昔だったら、言わなさそうな所を見るに、とっつぁん要素が、元々の素質だったのかな?と意外とこの人、危険人物なんでは?と思いました。
 個人的お勧めポイントは、腕を外して、敵の自爆から逃れる場面(宜野座ロケットパンチ)です。あそこが、本当にカッコ良すぎる。いい漢になったなぁと何目線?

六合塚弥生さん

安心賞

 裏方に徹し、相方である志恩さんと共に、活躍していましたね。
 本当のことを言うと出番少なかったけれど、皆がギラギラしてるしな。
 会見の前の時のさり気ない台詞とかが、彼女らしくて、好きでした。
 どうやって、彼女の犯罪係数が落ちたかも、気になります

唐之杜志恩さん

出来る女賞

 傷心を見せない狡噛さんに、雑賀先生のこと、残念だったわねと細やかな気配りを見せる志恩さんに、物凄くキュンとしました。こういうことを言える、志恩さんしか、いないよなとも、納得した次第です
 人の頭の中から聞こえる声の話が、忘れられず、彼女のインテリジェンス溢れる場面が、とっても、好きで好きで、仕方ないです。
 最後の場面の万事休すかと言う場面とやっぱり、公安局で一番出来る女は彼女なんじゃないか?と改めて、実感しました。
 彼女の犯罪係数も、下降に伴い、公安局を辞めることになりますが、弥生さんとどうなってしまうのか?とっても、気になりますわ。

霜月美佳さん

やれば出来る賞

 あんなに反抗的だった頃を思えば、今回は朱ちゃんの為に、行動したり、ツンデレに走ったりと本当にどうしたん?って、実感する場面が多かったです。
 まぁ、朱ちゃんのおばあちゃん殺すきっかけになったことは、死ぬまで、忘れないけどな。
 最後の場面の彼女は、完全に朱ちゃんに毒されていて、己の信じる道を歩み始めた印象が強い気がしますね。最初の頃は、シビュラ、マジ神派だったのにね。
 その理由は、別映画で分かってはいたけれど、それでも、成長した彼女を推さずには、いられませんでした。それだけ、今回の嫌味含め、今後の活躍に期待せずにはいられませんね。
 三期では、課長となり、彼女がシビュラ世界を変えるのか?そこまでの度量と適正は流石に無いか。それも、シビュラが一番分かってそうなんだけども。

雛河翔くん


陰ながら頑張ったで賞

 今回の敵が所持していた高高度気球型中継器こと、ラファエル。これにより、ピースブレイカー一派は、自由に活動することを可能にしていました。
 雛河君は、ラファエルをハッキングしたのは、功績として、大きいでしょう。本当によく頑張りました。
 櫻井孝宏さんの声のままだったのが、偉いです。ここを変えたら、流石にね。
 彼も、最初の頃に比べたら、成長したなと。凄い変化があるわけではないんですけども。

須郷徹平さん

 МVP

 彼は一番の功労者なんじゃないでしょうか。大変よく出来ましたでしょう。最初の際は、どう見ても、かすり傷で言いながらも、中々のダメージを喰らったりと本当に頑張ってたよね。
 高高度気球型中継器・ラファエルとの交戦時には、彼の元職業であるドローンパイロットであった経緯を利用し、軍のツテで、ドローンに搭乗します。そして、ラファエルハッキングの為、攻撃するわけでも無く、時間稼ぎの為に、永遠と避ける行動を取るファインプレーは観ていて、一番命賭けてんじゃんと思いました。
 一番は朱ちゃんなんですけど、それはそれ。
 それなのに、最終的には外務省に左遷されたりと泣いてもいいんだよレベルに、一番頑張っていたと思いました。
 須郷さん、マジでカッコよくて、ネット上の人気もどんどん上がってる彼なんで、彼が死んだら、僕の色相曇りそうです。

花城フレデリカさん

頑張ろう賞

 一番可哀想で、もっとやれたやろな場面が一番多い方でしたね。
 矢吹局長の指示とはいえ、一般人を巻き込む作戦を支持してしまったり、守ると誓った対象に守られたりと本当に散々な目に合ってて、可哀想という気持ちが強かったですね。
 最後らへんも、一応、戦闘に参戦したりと体張ってたけれど、借り物のドミネーターSG型プロトタイプで応戦する場面はカッコよかったです。
 彼女も、まだ、謎があるんで、伏線が回収される日は来るんでしょうか?

雑賀先生

ありがとう賞

 前編に記したことが、全てです。本当にこれまでの貢献、感謝します。
 ありがとう、そして、さようなら。

煇・ワシリー・イグナトフ

陰のМVP

 ピースブレイカーに一人潜入し、情報収集の為に、命を賭けたタフガイ。
 弟の婚約者の母親を殺してしまった所は、きつかったですね。任務を達成する為とはいえ、本当に二重スパイはいつも、苦しいよねぇ。
 狡噛さんと対戦し、まさかの勝利するの強すぎるんだよなぁ。ここで勝ったら、この話終わってたんで、仕方ないんです・・・。
 最期は、砺波に一矢報いた所は、スカッとしましたね。彼の本当の強さが、明らかとなって、より一層、好きになりました。
 炯がこれからも、幸せに生きることが出来ることを祈るばかりですね。

慎導篤志さん

暗躍賞

 朱ちゃん達を上手く操り、シビュラをも、上手く操ってまで、手に入れようとした正義の果て。多くの人々からの不信感は強かったかもしれませんが、中心にあるものは、誰もが持ち合わせる平和への願いだったのかもしれません。
 矢吹局長が死んでしまった所為で、彼のビフロスト権限が消えてしまったのは、要するにビフロスト内でも、何かしらの謀略が動いていたんでしょうね。
 最期は、シビュラに感謝の言葉を述べられるというのは、この人も、二重スパイだったのでしょうか?本当に気になることが多すぎます。
 いつか、補完して欲しいですね。

矢吹局長

無し

 この人の所為で、必要のない被害を被ったので、ありません。
 最期の最後まで、良い所なしだったのが、本当に人の心が無いですね。
 ある意味、一番可哀想なキャラですよね。一網打尽にするはずが、それ以上の被害を被り、敵に拷問を受け、挙句、敵に己の体を利用されたりと本当に散々な目にあった可哀想な人ですけど、同情は無いですね。
 しかも、この人の名前、漢字は違いますが、省吾。槙島聖護君と同じなのは、小ネタなのかな?と考えたりしました。えぇ・・・と思ったけど。
 同じしょうごでも、こんなに違うんだなぁと思いました。

シビュラシステム

安定賞

 いつも通りすぎて、言うことないです。本当に徹頭徹尾、いつも通りの犯罪係数さえ、良ければ、それでいい感じが、安心すら、ありました。
 まぁ、それだけに、あの最後はね。一応、らしくないこともしてた気がするけども。

ミリシア・ストロンスカヤ博士

辛い賞

 出番は少なかったですけど、彼女の考えた作戦が、結果として、上手く行きましたが、それで雑賀先生が死んでしまったのは、計算外ですけど。
 平和の為に、作ったはずなのに、こんなことになるなんて。いつの時代も、平和を成すことって、何かの犠牲が伴ってしまうんでしょうね。
 本当に生きてて欲しかったんですけど、彼女が死ななかったら、輝さんは信頼を得られず、他の仲間から、惨い殺され方したらと思うとこれでいいとは言えないのが、しんどいですね。
 今回の映画は、あの世界は、やっぱり、過酷と実感することばかりでした。真面目にしんどいことが多すぎて。

猿飛さん

出来る漢賞

 陰ながら、大活躍。篤志さんのアシストと須郷さんのお陰で、今回の作戦が、上手く行ったと言っても、過言ではないのでしょうか?
 詳しくはSSの映画を見るとこの人の偉大さが、余計にわかるんじゃないでしょうか?マジでこういう影ながら、活躍するキャラが輝く映画は神映画だと思ってます。
 一歩間違えたら、責任問題になって、クビになっても、仕方ないような事態ではありますが、その責任を負う姿は、出来る上司ですわ。

砺波告善

 意外と好き賞 


 敵キャラとして、存在感は若干、薄かった気もしなくないのですが、ボスキャラとしての活躍は頑張ってたと思います。
 公安局刑事課以外のキャラをだいぶ、制圧しましたし、味方を操り、雑賀先生の殺害や、一時無力化等、本当によくやってたと思うばかりです。
 ジェネラルの神託に従い、行動するまで、追い詰められたこの人のことを思うと不用意なことが言えません。
 この人にとっての正義は、長年の経験から来る絶望、地獄、憎悪であり、その末路が暴力による行動。誰だって、彼のようになってしまう。砺波は、それを出来るだけの武器・武装を有していたから、特別そうに見えますが、何ら、不思議なことは無くて、誰だって、こうなってしまうんだという思うような哀愁が彼の一番の魅力なんだと思います。
 ジェネラルに全てを託し、依存することは何も悪いことでもなく、況してや、彼等の国を作ろうとすることも、間違いではありません
 やり方は言い訳出来ない程の悪人ですが、犯罪係数が全ての社会で、どうやって、彼等は救われたのか?国の為に尽くしてきたはずが、見捨てられ、敵として、扱われる彼等を思うと何とも言えません。
 朱ちゃんを魔女呼ばわりする場面は、凄く好きでした。本当に見え方って、そういうことなんでしょうね。正しさって、何なんでしょうね。

まとめ


 以上で、ノミネートした方への解説は終わりです。3で活躍するあの三人は除外しました。悪しからず。
 朱ちゃんと狡噛さんは、第四章で触れようと思っているので、待ってて、下さいませ。彼等が今回の主人公なんで、それに見合うような文章を書かないとダメですからね。
 それぞれの活躍が、本当に光ってたこの映画でしたが、皆、それぞれの正義に向かって、ひた走る姿は敵も味方も、関係ない。そんな形の作品だったと思います。
 いよいよ、長かったこの記事の最後を飾るのは、僕が今回の映画で一番衝撃を受けた所です。これを観て、色んな意識や3へのつながりと言った解像度が増していった点だと思います。
 

第四章 必ず迎えに行く


正義の終わり

 朱ちゃんはあくまで、砺波を逮捕しようとします。彼を法で裁き、ピースブレイカーの件を公にしようとしていたように思えます。
 しかし、朱ちゃんの思いとは裏腹に、砺波を狡噛さんが殺害してしまいます。対話では、どう足掻いても、分かり合えないからと決めつけ、正当防衛とはいえ、結局は彼の正義が勝ってしまいます。
 命を助けて貰ったんだから、贅沢は言えませんが、朱ちゃんはあくまで、自らのスタンスを崩さない構えだったので、余計にこの時の対応は心に来たんだと思います。
 思えば、槙島聖護との最終決戦の際も、同じような展開だった気がします。これも、映画の時のオマージュなんでしょうけど、それだけに、別れていて、人としての成長を重ねた狡噛さんも、本質では何も変わってなかったことが、余計に辛い出来事だったんだと思います。

 責任を取り、朱ちゃんは公安局を退局。篤志さんの代わりのポジションに、就任することになります。その為に、今回の一件は、篤志さんと矢吹局長の失態という形で収束します。

 そして、そのポジション就任式。事件が起きます。朱ちゃんは、厚生省局長である禾生局長を発砲、殺害するという大事件が起きます。
 全ては、法律撤廃という流れを止める為、誰にも、頼ることが出来ない状況であって、この件から、誰も学ぼうともしないからという絶望的状況だっただけに、朱ちゃんの正義はこんな最悪の形で、実現することになりました。
 その前に、やりたい放題やった狡噛さんは隔離施設に収監されており、朱ちゃんは手紙を書いていました。それは、やっぱり、変わらなかった彼を観て、どう足掻いても、何も変わらないことに絶望。今回の一件に至るまでの経緯に至ったことを書いた手紙には、馬鹿野郎の一言を漏らす場面は、これも一期にも、あった場面。今回はその逆なのが、とても心に沁みる。

射殺

 朱ちゃんは、霜月に全てを託し、逮捕されてしまいます。霜月も、何で?と思っていたのが、彼女自身も、思うことがあったんだと思います。
 皮肉なことに、朱ちゃんの犯罪係数が変わらなかった為、法律の撤廃は再び、検討という形になるという結果となり、朱ちゃんの正義を成すことは出来ましたが、失う物があまりにも、大きすぎて。
 これまでのキャリアを積み重ねたのは、平和で安全な社会を築く為だったはずなのに、社会体制は変わらない。多くの人の犠牲を経ても、尚、包み隠そうとするこの社会、シビュラは万能のシステムと妄信する世界に一発ぶちかましてしまったんですね。
 ドミネーターではなく、拳銃で敵を制圧するのが、これまで、不殺を貫いてきた朱ちゃんが、これまでの全てをかなぐり捨ててでも、守りたかったものの答えだったということ。
 正直言って、この展開は、予想外であって、本当に衝撃が強くて、僕自身、耐えられなかったです。朱ちゃんは、そんなことしないと頭の何処かで、勘違いしていました。彼女は人間なんだと。
 これまでだって、色んな絶望を一手に引き受け、誰にも言えないジレンマから、どんどん、追い詰められていく朱ちゃんのしんどさ。その他の周囲からの期待とプレッシャー、雑賀先生を含む多くの犠牲たった一人には背負えない地獄を全て受けた朱ちゃんの心情は筆舌し難いものがあります

 禾生局長は、シビュラシステムの義体なんで、実際は誰も殺してないのですが、それを知っている人はごく僅か。殺した所で、代わりの機体が用意されるので、シビュラシステムとしては、ノーダメージ、不殺を貫いてはいますが、世間一般からすれば、厚生省のトップを殺した女の印象は一生残る大事件に違いありません。
 収監された隔離施設の部屋が、雑賀先生のいた部屋だったのが、最後の決め手だったと思いますが、大粒の涙を流す場面は言葉が出てきませんでした。
 ようやく、朱ちゃんは、色んな柵から、解放されましたが、こんなことを本当にやりたくなかったはずなのに。出来ることなら、スマートに解決しようと思っていたけれど、出来なかった。こうしないと一人の人間に出来ることは限られているから。
 誰もが、シビュラシステムを妄信し、これさえあれば、安全、健全に生きることが出来る。そう思いながら、生きていて、誰も、その不敗神話を信じる人ばかり。
 しかし、シビュラを朱ちゃん自身、廃したいわけでもなく、ただ、シビュラシステムだけに、全てを託す社会は、余りにも、危険だったから。だから、色相も濁らない彼女が自らを犠牲にして、行った行為を誰が非難出来るのでしょうか?

代償行為

 前編でお話したように、今回のお話のテーマは、自己犠牲。ミリシア博士の意志は、煇さん、篤志さんと引き継がれ、最後はシビュラに託されましたが、そのシビュラに弓引いたのが、朱ちゃんというのが、どういえばいいのか、説明に困ります。
 シビュラは、彼等の意志を不意にしてでも、ピースブレイカー事件を収束させたかった、なかったことにしたかったのに、対し、朱ちゃんは、この事件の犠牲を無駄にしない行為に打って出たわけで、何が正しいかは、主観によると思いますが、相当、追い詰められていたからこその行動だったことだけは、分かると思います。
 思えば、一期に出ていた縢秀星君が、シビュラの真実を知ってしまったが、為に謀殺されて以降、朱ちゃんの地獄は始まりました。あの時から、朱ちゃんは、強くなりましたが、失う物が多すぎて。
 シビュラに隠蔽され続けるような時間が長すぎて、朱ちゃんの心も、体も、限界を迎え、起きてしまった今回の事件。これだから、監視官は出世できないんだね。本当にロクな仕事じゃないよ。
 実を言えば、僕自身、三期で逮捕されてると聞いて、まさか、朱ちゃんがそんなことするわけとか、朱ちゃん、シビュラ社会の神様ポジじゃね?とか、色んな考察をしてましたが、狡噛さんや視聴者含め、皆の頭の中で作られた幻想・妄想だったのです。朱ちゃんは、ただのよくいる普通の女の子だったことを、今回の事件を通して、まざまざと見せつけられた回となりました。
 誰かの犠牲で成す正義・正義はどんなに綺麗事を並べても、結局の所、血を観ないと成すことが出来ないのか。誰も、傷ついた時にならないとその痛みを知ることが出来ないのか。
 今回の映画は、どれだけ、考えて、行動したつもりでも、実際の所、人間の愚かさ、物事が大きく動く時って、結局の所、無血革命は成せない。何かの犠牲によって、正義は果たされてしまうのか、人間の矮小さを思い知る作品でした。
 そんな正義間違っていると言えないのが、しんどい所ですね。だからこそ、考え続けなければならない、本当に何の対価も無しに正義は果たせないのかと。この映画を観終わった後、一日中、正義について、考えていました。
 ダメージが大きすぎるって、マジでさぁ・・・・。

当事者

 今回の映画に完全にリンクしていたエンディング曲こと、EGOISTの当事者が、映画観終わった後に、まんまじゃねえかと突っ込んでしまいました。
 こんなに作品に寄り添う楽曲あんのかと思う程、聴けば聞くほど、心にグサグサ突き刺さる歌詞にメンタルがヤバいです。
 銃声が響くの所が正にそうなんでしょうね。これまでの傍観者であることを辞め、自らも、当事者となり、汚れる覚悟を決めた場面を上手く楽曲に落とし込み、映画を観終わった後、多くの潜在犯を生み出したであろう一曲だったと思われる。
 凛として時雨のアレキシサイミアスペアも凄いインパクトがあって、お勧めです。こんなに理不尽な社会をよくもまぁ、楽曲に上手く昇華していたなと言う感情に支配されてしまいます。
 やっぱ、凛として時雨と言えば、シャウトなんで、やっぱ。psychopassと言えば、凛として時雨なんだよなぁ。

最後

 最後の場面で、朱ちゃんの意志は、狡噛さんに引き継がれ、「必ず、迎えに行く」の台詞で物語は終わりを迎えます。
 朱ちゃんの自己犠牲は、結果として、変わらなかった彼の心を変えていくことになります。個人的に、この言葉が、僕の中で、一番好きな場面になりました。悔しいんですけど、塩谷監督も、一番好きな場面と仰っていたので、彼の思惑通りになったのが、実に悔しいです。
 彼にとって、朱ちゃんの存在がどれだけ、大きく、どれだけ、大切だったかを証明する場面だったのか。彼女を追い詰めてしまったことへの自責の念だったのか、それとも、助けたいという思いだったのか。
 この一行にも、満たない台詞に込められた思いを聴くだけで、色んな人々の思いが交錯し、最終的には、一つの形に収束し、やがて、それが、3に繋がって行く。
 そして、3のFIRSTINSPECTORで、その願いは狡噛さんではなく、別の人のお陰で、実現することになるのですが、これを加味した上で、観ると余計にエモーショナルに感じてしまいます。
 法定執行官となり、釈放された朱ちゃん、本当に迎えに来た狡噛さん。最初の一言が、すまんから、始まるというのが、彼らしいと言うか。
 これまでだったら、朱ちゃんが、ごめんなさいと言った謝罪して、狡噛さんがなぜ、謝る?とやり取りがこれまでだったのですが、まさかの逆と言うのが、とても、良い。実に良い限りです。
(隔離施設内で、再会はしてるんですけどね)
 ようやく、雑賀先生との約束を果たし、ご飯を食べに行く2人から、新しい関係性が始まると思うと4は期待せずにはいられませんね。
 この2人の関係性をスタッフや演者さん曰く、恋愛関係ではない大人の関係性と言われているのですが、凄く僕自身、共感の嵐しかありませんでした。
 全てとは言いませんが、男女が重なれば、結局は付き合う、キスをするみたいなお約束な流れがあるのは、仕方ないのですが、時折、それがクドいなと思う時もあります。そうじゃなくても、良くない?と。
 この2人の関係性は、正にそれで、互いが互いを必要としていて、恋愛もいいですけれど、色んなことを乗り越え、成長し、尊重し合う関係性こそ、とても、尊く、大切にしていきたい感情だと思います。
 今後の展開に、要注目したいです。

最終章 総評

 とても、良い映画でした。これまでのpsychopass、これからのpsychopass、3との親和性、これまでの伏線を回収し、新たな世界へと旅立つような、そんな思いを強く深く感じることが出来る映画でした。
 ただ、何度も見たいかと言われたら、何度もは、観られない。見たい気持ちも、湧いてきたんですけど、余りにも、ショッキングで、ハードだったので、今すぐには無理かな?と思ってます。
 正義の在り方、人々の平和への思い、自己犠牲からでしか、平和を手に入れることは、出来ないのか、痛みの中でしか、人々は分かり合うことは、出来ないのか?様々な考えや思想が交錯し、やがて、争いが起きてしまう。
 それは、今の世の中と同じ。紛争や武力衝突が起きている現在進行形で、起きている現状そのもの。その世界には、対話も観念も、通じず、ひたすら、消費されるばかり。
 変わらない思いは大事だけど、時には清濁併せ吞む覚悟も大事。成長しなければ、新しい世界へは、辿り着かない。変わらないと思われていたシビュラの支配する世界が、少しずつ、変わろうとする分岐点とも言えるこの映画を是非とも、色んな人に見て欲しいです。
 慎導篤志さんの死を受け、哀しみに暮れる灼に考えなさいと訴える朱ちゃんの場面があるのですが、とても、忘れられません。この映画が訴えたいことが、この言葉に全て詰まっていると思います。やっぱり、流されることは、悪いことでは、ありませんが、流されるだけでは、自分の中にある答えには、辿り着くことは出来ません
 悪戦苦闘し、多くの絶望に抗いながらも、自らを納得する答えを見出すまで、人々は、考え続けなければ、ならない。どんなに絶望的な答えであったとしても、その先にある真実から、眼をそらしてはいけない。
 今回の映画を通して、色んな感情が爆発し、僕自身、このblogが完璧な答えというわけではありません。多少は、妥協した部分もあると思いますが、それでも、今回の映画を通して、成長と変化があったと思います。
 最後に観終わった後に、きっと、誰かの気持ちを動かす、そんな作品になってると思います。どうか、このblogを通して、psychopassの良さを少しでも、理解して貰えると嬉しい限りです。
 今回の映画には、100の伏線が仕込まれているらしく、99は分かるらしいんですけど、残りの一つは絶対に分からないとのこと。これは、何度も見ないと理解出来ないそうなので、絶対に色んな人に見て欲しいです。
 僕も、朱ちゃんの手紙欲しいので、前向きに検討しようと思ってます。

 最後になりましたが、今回のblogを書こうと思ったきっかけは、周りにpsychopassを語れる人がいなかったこと、ネタバレ上等の内容を発露する場が無かったこと、psychopassという作品の良さをこのblogを通して、より多くの人々に布教したかったことが、大前提にありました。
 後編含め、約24000字以上の大ボリュームとなっており、個人的には、満足ですが、もっと、文章を抑えることが出来なかったのか?理解してくれる人は居ないのか?と苦悩や葛藤が今もあります。
 どれだけ、尽くしても、どれだけ、努力しても、人生は報われません。頑張っても、頑張っても、救われるわけでもなく、ただただ、無駄なことをしている。人生を溝に捨てているような行為だと感じる時があります。
 僕には、文章の才能がない、誰も僕を理解してくれない、しかし、この今にも、止められない思いをどうやって、発散すべきか?どうやって、思いを遂げるべきなのか?どうやったら、色んな人々にこの思いが届くのか。
 試行錯誤した上で、分かりづらい本作を出来る限り、咀嚼した上で、今回のblogを書いてみました。

 どうか、最後まで読んでくれたあなたに届けたい。
 そして、このblogを通して、この作品が元々、好きだった人も、そうでもない人でも、誰でもいいので、読んで貰えるととても、嬉しい限りです。
 コメントと好きを待っています。フォローや、あなたの考察コメントも、お待ちしてます。

 

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