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サングラス

 日差しが尋常ではないこの時期、サングラスは欠かせない。かく言う僕もサングラスを愛用しているが……実は、季節を問わず外出の折り、サングラスを常用しているのだ。
 とは言え、僕が掛けているのは、所謂「色眼鏡」ではなく、紫外線だけはカットする素通しのクリアレンズである。

 もとより色つきのサングラスも所持しているが、どうも世界が暗くなってやりきれない。加えて一説によると、濃い色のサングラスは瞳孔が開いてしまい、かえって紫外線を招き入れてしまうとも聞く。

 かってハマっていたのは、「ブラックフライズ」というカリフォルニア発のサングラスで、ゴーグルみたいに顔の曲面に添うように仕立てたデザインが特徴だろう。
 何本が所持していて、大いに粋がっていた時期もあったが……ここ最近は、ごく有り触れたウェリントンに落ち着いている。

 気に入っているのがアーバンリサーチとカネコオプティカルのコラボ。そして、トムフォードの落ち着いた奴だ。トムフォードはかなり大胆なデザインも有名だが、こと日本人の場合 、眼鏡を掛けている……と言うより、掛けられている、というふぜいになってしまう。

 どちらも、それなりに高価だったが……僕の悪いクセで、ちょっとでも金銭的にゆとりがあると……オシャレ小物でもつい大金を叩いてしまうのだ。

 思えば、サングラスは浪人中あたりから常用していたと思う。この当時は完全に「色眼鏡」であった。予備校でカッコつけるような人間のこと……連続浪人も自業自得だろう。

 学生時代、jazzにのめり込んでいた頃、地下の薄暗い練習場ですらサングラスにくわえ煙草という……MilesやJohn Coltraneの真似をしていたのも、今は昔の話である。

 今では、サングラスはオシャレのアイテムではなく……あくまでも紫外線対策のつもりである。
 おかしなもので……この頃、眼鏡(度は入っていない)なしで外出するのが、変に気恥ずかしい。
 コロナの時のマスクもそうだったが、慣れてしまうと、それが必須アイテムのように身についてまうらしい。
 さすがにマスクは、表情筋の弛緩という理由で、今は全く使用していないが……サングラス、いっそ伊達眼鏡? ……だけは、外せない。

 もかしたら「色眼鏡でモノを見る」ことが、クセになり常態になってしまったのだろうか?
 言うまでも無く「色眼鏡で云々」とは、偏見を以てモノを見る謂であって、褒め言葉にはならないだろう。

 清廉潔白の士ならば「色眼鏡なんぞ捨てろ!」と、僕を非難するはずだ。

 しかし「偏見」と「偏向」こそ信条とする身としあれば、いらぬお世話。

 案外、僕の伊達眼鏡は、偏見の表明であると同時……実際はクリアレンズということもあって、偏見の向こう側に広がる真実を、曇りなく見通したいという意思の表れなのかも知れない……が……

貧乏人です。創作費用に充てたいので……よろしくお願いいたします。