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行き場のない一生懸命の置き場を見つけた。

今年から楽器を始めた。今は『大人の音楽教室』というのがあって大人でも簡単に始める事ができる。
学生時代吹奏楽部に所属していたし小学校の頃ピアノを習っていた。でも音楽は好きだけれどなかなか上手にならなかった。今考えると向いていないのかもしれない。


小さい頃から“鈍臭い“と言われ続けた私は、基礎の習得にもとても時間がかかってしまう。感覚を身体に染み込ませるのにとても時間がかかるのだ。<これをするとこの音が出る!>というのを頭で理解できていても体が理解するまでに時間がかかるという感じだ。


そういえば言葉もそうで私は、こうやって言葉を文章にするのは好きだ。けれど私の心の中で思ってることを書いてるつもりでもいつも何か足りないような何か多すぎるようなそんな気がして前に書いた文章を読んでは、『そうじゃないのに』などと思ったりする。心から喉を通って空気に触れると一気に酸化してしまうかのように形が変わってしまう。まるで『トンネルを越えると雪国だった』の様な、久しぶりにマンションで階段使って上がって鍵がハマらずゴリゴリ音を立てて開けようとしたら1階下の階だった時のような、この服大好きと思って買って家に帰って着てみたらまるで似合わなかった時のように差が生まれてしまうのだ。せめてトンネルの前から雪景色になりそうな空気を漂わせたり鍵が鍵穴に入らないない時点で部屋番号を見たり、服は試着してから買うとかしてこの差をどうしても埋めたいのだけれどずっと埋まらないままでいる。

話が逸れてしまったが音楽では、頭の中と実際の行動と楽器の音の3つの差を埋めていくのに私は昔からとても時間がかかってしまう。普通の人なら簡単に受け入れられるものが私には、なかなか受け入れられないし、しみつかない。そうしていつも、スタートダッシュから遅れてしまうのだ。

そんな私が、『大人の音楽教室』に通い始めた。子供の頃からの“鈍臭い“は変わることなく健在だった。会社帰りに練習室を予約して練習してもなかなか思うように出来ない。2時間半の練習時間の最後の30分でだいぶ上手になってきても翌日にはまた、昨日のことはなかった事の様にうまくいかなくなっている。それだけ出来なくてもこの週に1回の音楽教室が今たまらなく楽しくて仕方ないと思ってる自分に気づいた。


だんだん会社でも出来ない事がなくなっていくというよりは出来ないことをしなくなってきたのかもしれない。怒られることもこういうご時世少なくなってきた。野放しにされた私は、どんどん不安になっていたのだ。元来お願いされたり期待されたりすることに対して頑張る癖みたいなものがあった。すぐに出来ない分真面目に真剣に何度も取り組んできた。ずっとその繰り返しで出来ないことや難しいことでも頑張って一生懸命克服してきた。よくいう『真剣とか一生懸命とかカッコ悪い』というところと真逆の場所にいた。だから今のこの野放しの状態が不安で仕方なかったのだと気づいた。40歳もすぎて頑張ると周りと調和が取れなくなってくる。部下に多くを求めたり仕事を抱え込んだりしがちになり一生懸命頑張ることをセーブしなきゃいけない時がくるなんて思ってもみなかった。そのセーブした部分をどうしたらいいのかわからなくて持て余していたんだ。

出来ない事がある喜びを久しぶりに感じた様な気がする。誰かに期待される喜びをひさしぶりに見つけたのだ。今日もさっきまで練習室を借りて2時間半練習した。左手の人差し指がキーボードを打つと少しだけ痛い。その“痛い“が少しだけ嬉しいのだ。

文章をこうやって書くこともそうだ。いつも文字にすると何か違うような足りないようなそんな気がしていながらも♡をいただいたりコメントをいただくととても嬉しい。出来てないのがわかる分だけ励ましてもらってると勝手に思い込んでいる。

こやって出来ない事があるのが嬉しいのだ。会社で一生懸命頑張るを我慢しないといけない時が来るとは思っていなかったけれど、それはその分他に目を向けてやりたい事を探し始める為に会社がくれた時間なのだ。そう思うと今まで思っていたモヤモヤが晴れていく。ありがたいなと思えるようになった。これからは、会社の為にではなく会社がくれた<時間>と<一生懸命>を自分のために使おう。

『人生の軸は2つある方がいい』という。仕事軸ともう一つ。それは子供や結婚した相手でもいいだろう。そして音楽や絵や俳句などでももちろんいいだろう。そうやって人生2つの軸があると、どちらかがうまくいかなかった時にきっと心の拠り所になってくれるはずだ。それは、私のように行き場のない一生懸命がたどり着く場所にもなる。そして会社を引退するときにそれはきっと輝くものへと変化しているのだろう。

#感謝 #努力 #趣味 #音楽 #会社 #ストレス #note  #日々の事


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