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現代詩の世界2022-8

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暑い夏のすずやかな世界を。
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2022年12月の記事一覧

典子伝—『典子奇跡』―2022/12/23―

「はらの内にケシほどもはづかしみがなければ  なんと此の上もない、楽しみではござるまいか…

2022/12/18 『セバスチアヌス』

あなた方はそれほど高貴な方と闘っていたのです 神の名が呼ばれて 球体の鏡は厳かな話題となっ…

2022/12/15 『信仰』

裸の體中に鉛筆を突き刺して、ぶらさげて 業火、身を焼く 凍河、民衆は苦しむ 植物は育たない …

典子伝ー『典子裏切り』ー2022/12/11

「仏界入り易く、魔界入り難し。」ああ一つの命がその事を知ったなら、もう仏界へ入ろうするよ…

2022/12/10 『アイス・キャット』

札幌の雪祭りの会場に アイス・キャットが登場する ところでアイス・キャットとは何もの? 氷…

2022/12/9 『典子』

典子、神の座より転落し 黄塵にまみれ砂を噛む 美しかりし髪も乱れ傷つく 六波羅の木々、鉄線…

1980/9/21 『レーメンの考察』

ふなを釣りにみどりが沼へ歩く 木の上で子供はなめらかに歌う 「よんひゃくえんのレーメンが」 能のうたいのように 能の舞台にすすみでる ふなはゆるゆると岸辺にひきあげられ 幻覚はそれぞれの歩調で 哲学と名付けられたものの 重たい足どりを追いかけている もん白蝶と野いちごは 青い統一の空間を 横むきにすべり降りてゆき かくして透明なる思惟は 変更されたうつろの波型のように 路上の黄色い花の革命をうっすらと考える 「ひゃくごじゅうえんのラーメンが」 この立方体のにぶく輝く 寺田町

典子伝 —『典子昇天』— 2022/12/7

「死んだんですか」タオルで汗を拭きながら男がのぞき 込んだ。三日前にそこの岩風呂で会った…

2022/12/6 『水面下の会話』

水面下のひかりが それは落下していく、ようす で、それがぼくらにとっては 多面体である、水…

2022/12/5 『トリメンダス』

すなわち広域に渡る動くことのない精神 真空を仮定する、真っ青の時代区分 吐きそうになる胃と…

2022/12/2 『愛の衛星』

オクタビアヌスのながい沈黙 もしそうなら、ありえることだが 金属の小箱を明るい窓辺に置いて…