"かして"と"いいよ"の様式美
ヒトが最初に覚える交渉術だと思います。
保育園が春休みに入りました。
暇と体力を持て余した4歳児の体力を削るべく町のコミュニティセンターにひたすら通います。
自宅周辺には公園がありません。
田んぼはあります。
去年の夏、朝起きて窓を見たら蛍がとまっていました。どんだけ川綺麗なん?
車で10分のコミュニティセンターは、去年リニューアルされたばかりでこの町のどこにそんな予算あったの…?と聞きたくなるような施設です。
特に子どもを遊ばせる広場はめちゃくちゃ広く、床は無垢板でおもちゃは全て木のおもちゃ。
おままごとセットも全て木材。
知育玩具も木のおもちゃ。
これ、たしか1万円以上するやつですよねっておもちゃがたくさん置いてあります。
正直買おうか迷っていたおもちゃもあるのでものすごく助かりました。
職員さんも優しい、親切な人ばかり。
当然評判がめちゃくちゃいいので人が人を呼んで近隣の市町村からも親子がやってきます。
それでも平日は未就学児しか来ないので割と空いてます。土日は小学生のたまり場ですが…。
とてもありがたい施設です。
そんな施設なので高頻度で息子と娘を連れて行くのですが、最初は行くたびにその日初めて会った子とのおもちゃの譲り合いに悩んでいました。
初めて行ったとき、あまりの広さとおもちゃの数に息子は大興奮。
受付を済ませた瞬間、糸が切れた凧ってなるほどこんな感じかと思わせるフィーバーぶりでした。
沢山のおもちゃに目移りし、遊び、それは他の子が遊んでいるおもちゃにも向けられました。
知らない子に「かして」が言えなかった息子。
相手は年齢が同じかおそらく少し下?
もちろん相手も貸してと言われて貸せる年齢ではありません。
それでもマナーとして貸してっていうんだよと言っても息子は言えず。
あんた保育園でどうしてんのよ…と思いましたが相手が知らない子だから言えないのか?とも思い、その日は
貸してと言えない人はここでは遊べない
という学習をしてもらうため強制退去。
まだ遊びたいと泣く息子を米俵よろしく担いで車に押し込みました。15kg重い…。
その後、
①人のおもちゃで遊びたい時は貸してと言う
または一緒に遊んでいい?と聞く
②人に貸してと言われたらおもちゃは貸す
ということを何回か強制退去を繰り返して覚えました。
しかしこの「かして」「いいよ」のやりとり、どうもモヤモヤするんですよね。
本音を言ってしまうと、私はおもちゃの取り合いで喧嘩してもいいと思ってるんです。
どちらかが手が出た時点で大人が介入すればいいのであって、手が出るまでは多少の取り合いはアリだと思ってます。
力づくでおもちゃを取られる経験は、力づくで取られないためにはどうしようかって考えることに繋がるし、力づくで取ったおもちゃもまた誰かに取られるものです。
私はいつも取られる側でした。
取られない為にお気に入りのおもちゃの所在を常に気にしていたし、危険な相手がいたらその日は諦める、またはすぐに手放す、あるいは隠すという知恵を捻り出していました。
子どもの頃通っていた児童館(ていう呼び方って全国共通なのだろうか)では、母は大体ママ友と話してたし、振り向けば手を振ってくれたけど基本的に子どもたちは放牧スタイルだったよなぁ。
いつからこんな施設でも親が子どもにずっとついて回って遊ぶようになったんだろう?
と、本音で思っていても他の保護者はそうは思っていないし、貴重な施設を利用しづらくなる方が困るのでこの「かして」と「いいよ」を私は必死で覚えさせたのです。
ただやっぱり②の「貸してと言われたら貸す」はどうしても息子の気持ちを無視しているのでどうにかならんものか。
だって息子が「今」遊んでるんだし。
貸してって言うのは相手の都合だし。
うーん…。
助けてインターネット!笑
うーん…ほうほう、あ、これだな。
"終わったら" 貸して
"終わったら" いいよ
これだ。これなら納得。
さすがインターネット、同じこと考えてる人は沢山いるんですね。
「終わったら」って加えるだけで主導が"今"おもちゃを使ってる側に保たれるわけです。
これなら遊んでる側のタイミングで貸せるし、貸してもらう側はその間待つという忍耐を鍛えられる。なるほどね!
以降私は、息子が「かして」と言うときは「終わったら貸してね」、「かして」と他の子に言われたときは「終わったら貸すね」と付け加えて言うようにしました。
あーらびっくり何回か繰り返したら息子もそう言うようになりました。
意外と3分もかからずどうぞって貸すし。
あと相手の子も大体素直に待ってくれるし。
天使ばっかりだなこの町は。
マナーや社会性の教育って難しいですね。
低年齢なほど成長差は大きいので出来ること出来ないことは本当にその子それぞれだと思います。
5歳でもできない子はいるし3歳でもできる子はいる。
自分の子も他人の子も出来るだけ長い目で見たいものです。
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