【読書感想文】ぜんぶ運命だったんかい おじさん社会と女子の一生
私が書いたのかな…?と思うくらい共感できる本でした。
大手広告代理店に入社したエリート女性が男性社会で感じたこと、
インターンでジェンダー平等な国へ行った際に感じたギャップ、
婚活での苦しみ、おじさん政治への絶望など、女性の生きづらさの経験の全てがつまった本です。
著者と同じく、私も30代の未婚女性です。
ここまでエリートではありませんが、
新卒からずっと日本の大企業で働いていました。
大学生の頃は、女性の教授のゼミで学び、これからは女性の時代なんだと、そして大企業に就職できた私はこれから輝く女性になれるのだと信じていました。
でも社会に出てすぐ、違和感を感じました。
その違和感の正体が何なのかわからずに、うまく言葉にすることもできないまま、感じていたその違和感はいつの間にか「私がおかしいのかな」という考え方に変わっていきました。
男の人と同じように働かないといけないし、
結婚して子供も産まないといけない。それが女の幸せ、輝く女性。
でも私は、年齢という時限爆弾を抱えながら、男性並みの仕事もできず
結婚もできないし子供も産めない。
産育休の人の仕事を引き受けながら、子供が熱が出たから早退するママの仕事を引き受けながら、自分の成果をあげなければいけない。
仕事がまわらないと訴えたけど、産育休はお互い様なので、このままどうにか頑張らないといけないらしい。
あぁ、そうか、産休に入らない私がおかしいのか…
つらくても泣いちゃいけない。泣いたら「これだから女は…」と思われる。
もうこんな頑張っているのに、頑張れ頑張れと言われる。
結婚をした友達からは毎年「今年こそ素敵な人と出会えるように頑張ってね」とメッセージが届く。
これ以上いったい、何をどう頑張ったら、私は輝く女性になれるの?
私って何もできない人間だ…
いつもそう思って生きていました。
「生きていてごめんなさい」
この著者と同じように、
ずっと役立たずな自分を責めて生きていました。
「全部運命だったんかい」というこの本のタイトルですが、
まさにその通り。
著者や私や、女性たちが同じように「生きていてごめんなさい」と思うのは「全部運命だったんかい」!!
って今なら笑ってつっこめますけれども。
ジェンダーの呪い(男はこうあるべき、女はこうあるべき)にかけられているこの国では、きっと同じような苦しみを抱えて生きている人がたくさんいます。
私はその会社で10年働き、仕事に疲れて、退職しました。
仕事に疲れたのだと、思っていました。
でも今思えは、仕事に疲れたわけではなくジェンダーの呪いに苦しみ、疲れただけだったのかもしれません。
私は今ジェンダーの呪いから解放されて、毎日楽しく人生を「自分らしく」生きています。
人生ってこんなに楽しいものだったんですね。
そう思えると初めて、社会の役に立ちたい、と思えるようになりました。
「私が悪いのかな」と思って自分を責めている女の人に、
ぜひ読んでもらいたい本です!
私は悪くなかった!私だけじゃなかったんだ!!
世の中を変えたい!!!
きっと、そう思える本です。
自分を責めるエネルギーは、社会を変えていく前向きなエネルギーに使っていくべきです。