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【読書感想文】恋愛の発酵と腐敗について/女性はたくましく生きると強い

話題の恋愛小説を読みました。
とっっても面白い恋愛小説でした。
文庫本の帯には「どうしてこんな男に、恋してしまったんだろう。」

二度と恋はしないと誓った女性、夫に先立たれ久しぶりの恋心に戸惑う女性、夫の浮気を許し続ける女性…
そんな3人の女性が、パン屋を舞台にひとりの男に翻弄される物語。

帯にあるような「こんな男」
たしかに、クズ男め…!!!と最初は思いましたが
読んでいくうちに「こんな男」って本当に存在するのだろうか?と思いました。
物理的には存在しているのですが、「こんな男」を作り上げているのは結局は女性なのではないかと。

女性の社会での生きづらさ、一人で生きていくことの心細さ、寂しさ、誰かから必要とされたい気持ち…
これらのモヤモヤした気持ちに都合よく「恋」と名付け、自分を納得させ、現実逃避をした先が「こんな男」なんだと思いました。

「こんな男」は自分から何もしていないし、主体性の無い男でした。

たぶんみんな、恋はしていなかった。

恋心もどきが発酵してる間は楽しいけど、
間違った発酵をしてるから腐敗するのです。

でも「こんな男」と関わったからこそ女性は強くなりました。
ラストがとても素敵で、女性がたくましく生きていくことへの勇気をもらえるようなストーリーでした!

女性の社会での生きづらさや、女性蔑視的なシーンもあって
フェミニズムの視点からも読み取れる小説でした。
おすすめの恋愛小説です。

万里絵は男にうんざりしていた。そして、それでも男というものをあきらめきれない自分に、もっとうんざりしていた。

もう嫌なことを絶対に我慢したくない。私じゃなくてもいいのだ。誰も私のことなんか本当は必要としていない。

若いのも可愛いのも女性なのも、自分のせいじゃない、と万里絵は言い返したかった。

ただ、恋をしただけなのに。なぜ出会ったり別れたりするだびに、子どもを産むか産まないかという選択を突きつけられるのだろう。妻か母にならないといけないのだろうか。

「あの子も大事だけど、同じくらい大事なものがいろいろあるのよあたしには」


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