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読書日記75 【嘘を愛する女】

※ネタバレ注意です。

 岡部えつさんの作品。作品は無茶苦茶面白いのにAmazonのprime readingで読めると誰かが推薦してたので読んで見た。初期の作品『残花繚乱』は田中麗奈さん主演でドラマ化されている。noteでもエッセイを書いている。文章は寡黙で繊細な感じがする。(すいませんついさっき知りました)

 主人公の由加利が母と同性をする彼氏の桔平を待っているところから物語がはじまる。待ち合わせの時間を過ぎても桔平は現れない。その日は母に彼氏で同棲する桔平を始めて紹介する日だった。困惑する由加利。食品メーカーで総合職をするキャリアウーマンの由加利が医者である桔平と知り合って付き合いを始めて5年が経過している。

 その日、アパートに桔平は帰ってこない。嫌がる桔平を母親に合わせたかったのは由加利が結婚を意識してたからで、桔平に負担をかけたのではないかと不安になる。朝に携帯に電話をかけると病院でこの電話の持ち主が搬送されていると連絡を受ける。いそいで病院に向かう由加利は病院に同居人としての証明をし、事の経緯を聞く。すると背後から警察官が由加利にびっくりする事実を話す。「桔平の勤めている病院にそんな医者はいない」と、驚愕する由加利。

 桔平を世間に証明するものが何もないことに気づく。免許証・保険証・社員証、つまり「身元不明者」ということで5年間、誰かわからない人と暮らしていたという現実と急に突きつけられる。パニックになりながら由加利はそこから桔平が誰なのかを探し始める。


 伏線が少なくどストライクで物語が進んでいく。主人公の由加利の感情の揺れ動きが写実的に書かれていて物語に入り込む速度が速い。もう一人の書き手である桔平の文章は、ぼやけていて印象的に書いているためにコントラストがあって「甘い・しょっぱい」の法則のようにぐいぐいと本が進んでいく。もう少し伏線をまぜて倍ぐらいの量で書いてあったら凄いストーリーになるだろなと思う作品。

 この作品の良いところは由加利と桔平が出会うシーンで、パニック障害をおこした由加利を桔平が助けるという所から二人の関係が始まっていく。医者らしいことをされた側は100%「桔平が医者だ」と信じてしまう。ここがうまい。

 由加利はキャリアウーマンで高額な給料をもらうが仕事に追われるというところも上手く話を繋げている。多忙さにかまけるところと、困難を理解し乗り越えようとする由加利の勝気さがすごくでているところで事件の真相がわかっていくところも「おー」と拍手したくなる。同僚で友達の綾子の存在もアクセントになっている。

 由加利は桔平の身元捜索を海原という男性に依頼するんだけど、この人がまた一筋縄ではいかないキャラで、お金にもならないのに由加利に対してアドバイスと称した注意をしたりする。「真実を知ってなんになる?」という問いかけはすごく心に響く、つまり別れたくて真実を知りたいのか別れたくなくて真実を知りたいのかで真実は変わるという。

 確かに別れたいなら、相手の不利な部分をとにかくだして優位に事を進めたほうがいい。ただ別れたくない場合に相手が女性とホテルに入ることを阻止しないと自分の心は壊れてしまうし、その事実を知りながら付き合っていきのは凄く大変だろうということ、できれば知らないで事が終わる方がいい場合もあるなと実感させられる。

 その真実を目の前に由加利が下した本当の気持ちとはとなるんだけど、最後もしっかりとストレートに書かれていて逆に気持ちよかった。ミステリー好きにはここら辺が「もう一捻りちょうだい、ちょうだいな」となるんだろうけど(伏線になりそうなところいっぱいありました)締め切りとかがあったのかな?というのは確かに否めない。凄いミステリーを書きそうな感じがします。(是非読みたい)

 昔に付き合った女性で同棲をしようとなったことがある。1年ぐらい付き合っていたし、年上で仕事もしっかりしていた。アパートを探して10万ぐらいの2LDKのマンションを国立市で探して見つかった。僕の名義で借りたので敷金・礼金は僕が払い引っ越しの期日の決まったところで、彼女が突然「ごめんなさい住めません」となった。理由は親が医者なので世間体が悪いというのだった。(ザケンナヨ~)彼女は次の住むところの費用は親が払ってくれるからとそそくさを部屋を借りて引っ越した( ;∀;)

 僕一人では払うの大変で敷金礼金も半分と言っていたから当てにしていたのにと生活苦にバイトをしながら生活をしていると、不憫に思った友達が、同居人を探してきてくれた。風呂なしの3万円のところに住んでる人で美大生で身元もしっかりしているいうので会ってみると女性だった。

 いやいや俺は男だしと断ろうとすると部屋だけ見せてくださいといわれたので見せると相手が気に入って、ぜひ借りたいとなって話が決まった。僕とすると3万でも助かったし男っぽい奴だったので凄く助かった。その彼女とは半年ぐらいで別れたんだけど部屋に遊びにきたいと騒ぐので断るのに大変だった(-_-;)。そのルームメイトとは3年ぐらい住んでルームメイトの卒業と同時にマンションを引き払った。今でも年賀状のやり取りはしている。

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