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おこめのおはなし~その6・お金のはなし――だが断る!(といってみたい!)
さて、二回にわけてお金のお話をしてきましたが、まだまだ隠れた出費があります。
それはなにかといいますと。
はい、そうです、忘れちゃならない、アレ。
『 税金 』です。
まあでも、余分に1台、乗用車を所有しなくちゃいけないのはキツイけど、軽トラックの税金だったら、乗用車とちがってそんなにかからないんじゃないの? そりゃあ車検とかだとそれなりにイタイ出費になるかもしれないけど、2年に一度なんだし。
と、思われる方が多いのではないでしょうか?
そうですね。
軽トラックの車検と税金だけなら、まだなんとかなるかもしれません。
でも、そのほかの農機具にも税金はかかってくるのです。
トラクター。
田植え機。
コンバイン。
これら全ての農機具に、税金はもれなくプレゼント的についてきます。(さすがに草刈り機にはかかりませんが)
ある日、ポストの中に役場からの封書が届きます。
ちょいと~アンタ~。
お国からお達しだよ~。
『 ○月○日までに 』しっかり税金納めておくれよ~。
こりゃ、国民の義務なんだからね~、とおねだりされる必要経費は、わかっていても、『 グハッ! ヤラレタ! 』ものです。
さらに言うと、『 農機具小屋 』にも税金がかかります。
小屋、ですからね、当然といえば当然なんですが……。もちろん、税金額は家屋ほどではありません。が、それでもしっかりした作りで『家』の様相に近ければ近いほど、税金は比例して跳ね上がります。
何が悲しくて、二軒分に近い税金を払わないといけないの? という気持ちにさせられます。
もう一つ、大事なものにも税金がかかります。
そう、『 土地 』です。
田んぼそれ自体にも、税金がかかってきます。
田んぼは家屋がたつ土地と比べて安い設定なんじゃないの?
そんなに負担になるの? と、少しくわしい方なら不思議に思われると思います。
じつはここに、大きな『 カラクリ 』が隠されているのです。
たしかに、田んぼなど耕作地にかかる税金は安いです。
ですが、国や県側は、すこしでも税収入を増やしたい。
すると、どういう手段に出るのか、というとですね。
『 この耕作農地は家屋を建てる土地としても適している 』
という判定を下すのです。
判定が下るとどうなるかといいますと、田んぼしての税金が適用されなくなります。
つまり、宅地なみの税金がかけられてしまう。
納める金額が、ぐんと、ケタ違いに上がってしまうのです。
え? でも、宅地開発可能になったのなら、イザとなったら宅地として売れるんだから、儲けがたくさんでるから、長期的に見たらプラス変化なんじゃないの? と思われるかも知れません。
しかし、それは大きな勘違い、なのです。
宅地化可能の土地として売ろうとしても、昨今は、田んぼのままでは買い手はほぼつかないのですよ。
ヒエやアワや雑草が生い茂ってしまったような耕作放棄地となった田んぼは、田んぼにしかならない土地に毛の生えたようなお値段にしかなりませんね、と土地運用の相談員さんに教えてもらいました。
では、売り物となる土地にするはどうすればよいのでしょうか?
最低でも上下水道工事をし、できれば土盛りをしてからでないと住宅業者は購入しません。
つまり、もう家を建てるばかりの更地にするまでの費用をこちらで負担しなければ売れないのです。
とはいうものの、そこまでしたら、いくら高値で売れたとしても、手元に残るお金の額はほとんどかわりません。
売ったら売ったで、またまた税金がかかってきちゃいます。
近年、田んぼを売られる方は、もうけを得ようとするのではなく、離農するからこんなだだっ広い土地なんかもっててもしかたないし、という理由で売る方なのです。
土地の話題が出たので、はなしをわざと横道にそらせますね。
なつかしい用語ですが、いわゆる『 バブル期 』に建築された建売住宅のうちの何パーセントかはこうした『 耕作農地であるが家屋を建ててもよい 』とされた田んぼをつぶして建てられたものです。
この頃は、田んぼであろうが、石ころだらけの荒地であろうが、藪芝ばかりの山地であろうが、そのままで飛ぶように土地は売れました。
しかしもともと、田んぼというのは水もちのよい土地こそが適しているのです。
泥田とはよく言ったもので、水はけが悪すぎても耕作に支障がおこりますが、基本は水場と離せない土地にあるのです。
こうした土地に建てられた家屋は地盤が弱いことが多いのですが、そうなるとどういう自体を招くかというと……。
そうです。
強い地震で揺れた場合に、いわゆる『 液状化現象 』をおこしやすくなるのです。
四方には細い用水路が巡らせてありますし、下手をすると大昔には大きな川の底だったりもします。
別に地震にあわなくとも、ちゃんとした業者さんを通さずに建てられた家ですと、こうした緩い土地は地盤沈下などの影響をうけて傾いたりしやすいという危険をふくんでいたりするのでした。
もうひとつ、別の問題があります。
地元限定の話でもうしわけないのですが、私の住まいのある地方は一級河川にめぐまれており、稲作農業に適した土地ではあるのですが、ウラを返せば台風などの大雨の時期に洪水を起こしやすい土地なのです。
私の通学路であった田んぼも、あれよあれよという間に様かわりしていきました。
稲穂の海のなかで、ちょっとこれ違う感満載の、パステルカラーの外壁ととんがり屋根の小じゃれた建売住宅が、雨後のたけのこのように一気に建ち並びました。
こうした建売住宅に引っ越してこられた方々は、この土地の特性を当然のことながら知りません。
しかも、建売住宅を購入された方々に、この土地の特性『 大雨によって河川氾濫がおこり、ある一定の条件がかさなると氾濫をおこした川の水は逆流をこして、もとは田んぼであった建売住宅地域に浸水してきやすい特徴がある土地 』という説明がな、されていなかったのです。
近年は堤防整備、上流地域でのダムによる貯水、下流地域では排水装置の充実などで洪水一歩手前でなんとか回避されていますが、わたしが幼い頃は『 10年に一度は浸水する 』とお年寄りたちに言われている、水害地区でした。
そして実際に、ダムや排水装置が充分でなかったバブル期前後、この『10年に一度は水が浸く』を2度ほど経験しました。
昔からの経験として知識があるものは決して建てないような建て方をされた家は、のきなみ床下床上浸水の被害にあいました。
たとえ用心していたとしても浸水被害にあえば、片付けなどの費用もかかってきます。
(ちなみに、床上浸水の見舞金は一世帯あたり2〜3万円ほどだったそうです)
被害に遭わないとしても、水害がおこりそうだとなれば、地元の人が順番で水防団を組み、見回りなどの警戒作業をしなくてはなりません。
暴風と豪雨の中、堤防にある重い防御扉を閉め、土のうを積みあげ、堤防の決壊にも備えねばなりません。
ですがこれらの危険な作業も、先の項でふれたように65歳オーバーの年金世代の方が中心とならねばならない。
限界集落とは、よく言い表したものだと思いました。
閑話休題的によこみちの話しをしました。
税金ですが、実家ですと家屋の建っている土地と田んぼの税金で年間40万ちかくもっていかれます。
田んぼの所有量は少ないのですが、数枚の田んぼが宅地化可能指定を受けているので、土地だけでこれだけかかるのです。
我が家でも家屋と田んぼの両方で、20万ほど持っていかれるでしょうか。
そういうわけで、80万の収入からまた更に4分の1が引かれることになり、残りは40万程になってしまいました。
このあたりは、1~2年おきに国の政策のため、休耕田として作付ができなくなるので、のこりの40万はそうした年度の諸経費用として手をつけずに、まるっと貯金箱行きとなります。
が、いやあほんとに大変です。
納税してくださいね~、ヨ・ロ・シ・ク! のお手紙にむかって
「 だが断る! 」 びしぃぃッ!
とポージング決めて突っ返したくなります。
(もちろん、チキンですので期限までにちゃんとおさめてますけどね)
※ 農機具類の税金について ※
田植え機については、乗用タイプか手押しタイプかでかかる税金の定義が違ってきます
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