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きれいに消える

朝、庭の病葉わくらばの陰に雨蛙がうずくまっていた。手足をぴったりと体に添えた姿はよくあるポーズなのだけれど、この雨蛙は何かちょっと様子がおかしい。背の緑が心なしか色褪せ、蒼ざめたように見える。
顔を寄せてみると、事切れたばかりの雨蛙なのだった。

雨蛙の姿はあまりに静かで、いつものようにうずくまったとたん、すうっと体から魂が抜け去った、そんな風に見える。
この世からあの世への変換は決して苦しいものではなく、ごくおだやかなものなのかもしれない。

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ほどなく針の先ほどの茶色い蟻が、音もなく群れとなって雨蛙を取り囲みはじめた。生き物としての役割を終えた雨蛙は、蟻たちの命をつないできれいに消えてゆく。
余計なものは何ひとつ残さずに。



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