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一枚の自分史②~お弁当~

テーマを決めて過去の出来事を思い出してゆく「一枚の自分史」。
手がかりがあるので、それをきっかけにして記憶がつながりやすくなります。短い時間で仕上げられるため、初めて自分史に取り組む方にもおすすめです。
「自分史」は年代順にきちんと続けなくても、書けるところから始めて、パッチワークのようにつないでゆけば大丈夫なのです。

さて、第二回目のテーマは「お弁当」。
遠足や運動会、お花見などお弁当を持って行く機会は意外に多いもの。
自分が作ってもらったことも、自分が作ってあげたことも大切な思い出になりますよね。
勉強会では「お弁当」を通して、さまざまな家族のかたちが見えてきました。
私も遠足に母が作ってくれる、安心して食べられる(微妙なイミで)お弁当について書きました。


*安心して食べられるお弁当

私の母は料理が苦手な人です。
苦手、というよりセンスがない、と言った方がよいかもしれません。
たとえば、ある日の晩ごはんのおかずに「おもちのベーコン巻き」が出ました。おかずなので、これに白ごはんが付きます。お味噌汁も何もありません。
「晩ごはんは、これだけ?」
「そうよ。新聞の家庭欄に載ってた、おもちのベーコン巻き。おいしそうやろ。」
母がにこにこしながら食卓に並べる大量のおもちのベーコン巻きを前に、父も弟も私も、さすがにうなずけずに
「おかずにこれはないかな~。」
「ごはんにおもちが付く~?」
と口々に言ったところ、
「そんなんやったら、食べやんでええ!」
母は真面目に怒り出し、しばらく機嫌がなおりませんでした。
そんな日常だったので遠足の時など、
「お弁当、何がいい?」
と母に聞かれるたび、私の答えは
「イシイのハンバーグがいいな。」
でした。
張り切って妙なものを作られるとたいへんだったし、母のどの料理よりもイシイのハンバーグが美味しかったのです。
母はいつも、
「本当にそんなんでええん?」
と言いながら、ほっとした顔をしていました。
遠足のお弁当はイシイのハンバーグと微妙な味の卵焼きとスティック状のきゅうり。半分に切っただけのみかんが入ることもあり、この定番が一番安心して食べられるお弁当でした。
今にして思えば、最も苦手な「料理」を毎日作らなければならなかった母が気の毒だと感じます。
でも当時はやはり、友達のお弁当が少しだけ羨ましかったです。
ちなみに、母の名誉のために書き加えるなら、母は掃除の達人でした。
台所のシンクから雨戸のレールに至るまで、365日ピカピカ。
私としてはお料理上手な母のもとで育ちたかったのですが…こればかりは致し方ありません。

自分で描いたお弁当です。
勉強会の時に描いたのはあまりに見苦しく、もう一度描きなおしてみたのですが…なかなか上手くゆかないものですね(^^;)
ただ、絵は記憶を呼び覚ますツール。楽しんで描きながら、時間をかけて過去を思い出すためのもの。
上手下手は関係ないのですよね。

みなさまは「お弁当」にどんな思い出がありますか?
よろしければコメントで聞かせてくださいね。

真柴みこと

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