変化を観察して気づく力~ニーバの祈りに加えて~

有名なニーバの祈りというのがあります。

神よ
変えることのできるものについて、
それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。
変えることのできないものについては、
それを受け入れる冷静さを与えたまえ。
そして変えることのできるものと、変えることのできないものを、
識別する知恵を与えたまえ。(ラインホルド・ニーバ作 大木英夫牧師訳)

これは試練の中で、耐え忍ぶ力をくれる言葉だと思います。そしてこの言葉をヒントに試練を抜け出しつつあるときに役に立つことをもう一つ付け加えたいと思います。

それが、題名の「変化を観察して気づく力」です。試練にある時、八方ふさがりで、物事が固定したり、どんどん悪い方向に行っているようにみえるものです。でも、その中で、もしも自分自身が少しでもよくなっていること、磨かれていることを観察して気づければ、大きな希望になるのではないでしょうか。
しばらく、マインドフルネスの実践でジャーナリング(気持ちを書きだすこと)をやっていてニーバの言葉に出会い、書いているうちに、恐らく、試練の中で、変えられるもの、というのは「自分自身の在り方」が必ず出てくるのではないか、と感じたのです。そして自分がなりたい自分に変われる可能性を見出した時、大きな励みとなります。それは完璧な自分と比べて自分を責めるのとは違います。試練の時、自分の人生や自分について深く考えると、そこから、行きたい方向が見えてきてその後の大きな発展につながることがあります。試練から抜け出るのにあたって、自分がどう変化しているか、観察し、気づき、その変化がまた状況の変化を生んでいることがわかれば大きな意味があると思うのです。逆境の中であまりに絶望していると、ネガティブになって、冷静になれないこともあります。でも、一歩引いて、状況を丁寧に観察すれば、もがいている自分、その中で学んでいること、磨かれていることが見えてくることがあると思います。

私の場合、試練の中で、なりたい自分像が見えてきたことが大きな好転のきっかけでした。それは決して実現の難しい完璧な理想像ではなく、長い期間かけて、探求するような生き方でした。それがニーバの祈りの変えられる部分に該当するとわかったとき、すうっと、少し前の自分と今の自分の人間関係の変化が見えたのです。周りの人に振り回されていた少し前の自分から、今は、たくさん気軽に相談できる信頼できる人に囲まれている状況に変わっていました。それは「大丈夫だ」という大きな安心の源でもあります。
もしもつらい状況にいるときは、一歩引いて、大きな流れ、変化を意識するといいかもしれません。その中で、自分自身の在り方の変化もまた見えてくるでしょう。

「豊かさは自分自身に、安心感は人間観に見出しましょう」(本田健さんの言葉)

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