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Position

連日、政府や地方自治体からの要請やテレビ報道を受けて、身近な人たちの「在宅勤務(telework)」が増えてきた実感があります。

ここまで「在宅勤務」の広がりを想定してこなかった日本の住宅事情では、必ずしも望ましい仕事スペースやネット環境があるとは言えないので、何かと大変だろうと思います。

今日のテーマは「ポジション」です。

本題に入る前段として、日常的に馴染みのある言葉としての「ポジション」の確認です。

①(基本的な意味で)位置、場所、配置、適所
②(組織・社会)地位、職位、席次、身分
③(スポーツ)守備の位置、選手の定位置(配置場所)
④(音楽)楽器に置く指の位置、それぞれの音の位置

例えば、集合写真を撮影する時には、前列中央にその場の主役を持ってきます。各国首脳が集まる国際会議で写真撮影する場合、立ち位置を決めるのもおそらく、ある一定の基準があるのでしょう。

野球やサッカー、バレーボールなどのスポーツの場合、レギュラーで試合や大会に出場できるのは限られた人数なので、ポジション争いが大変です。

柔道でオリンピック出場するには、日本国内での代表争いが熾烈で、実力の拮抗したレベルの高い選手の一方が落ちてしまうのはとても残念な気持ちになってしまいます。

家庭内や学校・会社などの組織、社会における自分自身の立ち位置が明確だと、心理面でも安定感が出てきます。

さて、今日の本題は金融用語の「ポジション」です。「考え方」の観点から男女交際に当てはめて考察します。

投資家やトレーダーが事業や金融商品といった資産や負債を保有している状態を「ポジションを持つ(have position)  あるいは、 ポジションを取る(take position)」と表現します。

ポジション」とは、簡単に言えば、「金融商品の取引において、取引をして決済するまでの状態(未決済の状態)、持ち高の状態」のことで、
建玉(たてぎょく): Open interest 」ともいいます。

相場が思惑通り変動すれば利益が発生し、相場が思惑とは逆に変動すれば損失が発生しますが、損益は、それが清算された時に確定します。

建玉転売または買い戻しによって損益確定し、当該取引を終了することを「ポジションを解消する、手仕舞う(close)」といいます。

彼氏(A男くん)と近い将来の結婚を考えながら付き合っている彼女(B子さん)がいると仮定しましょう。

A男くんは、学生時代に奨学金(=借金)を借りていて、その返済残高が350万円あるとします。同時に、預金を50万円持っているので、実質的には
300万円の借金があります。(ポジションを持つ)

A男くんが会社に就職できて、長く安定的に収入が見込めればうまく返済がすすむのですが、仕事や職場に馴染めなかったり、怪我や病気などで退職してしまうケースも考えられるので、B子さんは経済面で将来に関して少し不安があります。

現時点で、B子さんには3つのポジションが想定されます。

ロングポジション(Long)
A男くんの将来性は大いに期待できると判断すると「結婚したい、あるいは『付き合い続ける』気持ちの方が『別れる』を大きく上回る」(買いポジション)

ショートポジション(Short)
A男くんの将来性は望めない、疑問符がつくと判断すると「別れたい、あるいは『別れる』気持ちが『付き合い続ける』を大きく上回る」(売りポジション)

スクエア(Square)
『別れる』と『付き合い続ける』がバランス(中立)しているようなゼロ状態

こんな状態の時、B子さんと早々に結婚したいA男くんは「ポジショントーク(position talk)」を展開することになります。

ポジショントーク」とは、金融の世界ではトレーダーがポジションを張っているとき、自分のポジションに有利になりそうな情報を流して相場に影響を与えようとすることです。

普段の会話でも、誰かがもっともらしい発言をしていても、よくよく聞いてみると、単なる「ポジショントーク」に過ぎないことがよくあるのではないでしょうか?

借金を抱えているA男くんは、B子さんの不安を何とか解消しようと、例えば、ある意味、都合のよいこんな話をします。

「多少の借金があった方が、返済するために一生懸命、仕事に取り組むのでいい成果も出せる。まったく心配ないよ。」

「毎月の返済額も15,000円位で大した金額でもないよ。」

果たして、A男くんは結婚に向けて「ショートポジション」から「スクエア」へ、さらに「ロングポジション」に持っていけるかどうか?

もしB子さんに「ショートポジション」を突き付けられるようでは、付き合いも文字通り、短く(short)終わってしまいます。末永い(long)お付き合いが出来ればいいのですが・・・。

いずれどこかの時点で「ポジションを解消する、手仕舞う」必要があります。

いつまで交際を続けるのか、結婚するのか、しないのかについて結論を出す適切なタイミングがあるでしょう。

結婚は独身時代に終止符を打つと同時に、結婚生活のスタートです。

金融の世界とは違って、人生は損益だけで判断するものではありませんが、
節目節目、その場その場で、結果がどうであれ、清算して確定していくことが重要です。

人の総決算としての最終的な「ポジションの解消」は、この世を去る時かも知れません。























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